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 フランスMichelin(ミシュラン)は既存のエンジン船に後付け可能な縦帆を開発した。風による動力の補助を受けて燃費を最大2割向上できる。2021年6月1日、オンライン開催の自社主催サミット「Movin’On Summit 2021」で明らかにした。カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)に貢献できる技術として、22年に商船での試験導入を予定。性能を確かめたのち、量産を目指す。

Michelinが開発した燃費を最大2割向上できる縦帆
Michelinが開発した燃費を最大2割向上できる縦帆
(出所:Michelin)
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2022年に商船での試験導入を予定
2022年に商船での試験導入を予定
(出所:Michelin)
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 Michelinは、縦帆の開発を「The Wing Sail Mobility (WISAMO) project」と呼ぶ。同社研究開発部門と、2人のスイス人発明家が共同で開発した。タイヤをはじめとする材料設計や、流体解析の技術を生かして実現したとみられる。

 貨物を積んだトラックや荷台を運ぶRORO(Roll-on/Roll-off)船や、ばら積みの貨物船、石油およびガスタンカーへの搭載を念頭に置くが、「ほとんどの商船やプレジャーボート(趣味用途の船)に搭載できる」(同社)という。船の大小も問わない。後付けの他、造船時の標準搭載も想定する。

自動伸縮で格納

 縦帆は自動伸縮する機構を盛り込んでおり、風による補助が不要と判断したときには格納できる。格納すれば入港や橋の下の通過が簡単になる。

 同社は事業活動での脱炭素化に積極的な姿勢を見せている。30年には、工場における燃料の燃焼など事業者自らによる温暖化ガスの直接排出(Scope1)や、電力など他社から供給を受けたエネルギーの使用に伴う間接排出(Scope2)を合わせて、二酸化炭素(CO2)排出量を10年比で50%減らす目標を掲げる。さらに、50年までのカーボンニュートラル達成を目指している。

 今回開発した縦帆は主に海上移動や海上輸送での脱炭素に貢献する技術。これは、Scope1およびScope2以外の間接排出(Scope3)に該当する。同社は海運での脱炭素化を重要視しており、21年2月にはカナダとフランスを結ぶ大西洋横断の航路でCO2排出量を23年までに90%減らすと表明していた。