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 韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のスマートフォン連携の紛失防止タグ「Galaxy SmartTag+」に、オランダNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)のUWB(Ultra-Wide Band)通信ICとBluetooth通信ICが採用された。COMPUTEX TAIPEI 2021のCOMPUTEX FORUM AI Empowermentに登壇した、NXP President and CEOのKurt Sievers氏が「Accelerating the Secure Intelligent Edge Time」という講演で発表した ニュースリリース

登壇したNXP President and CEOのKurt Sievers氏
登壇したNXP President and CEOのKurt Sievers氏
同氏の後ろのスライドに映っている、四角いものが、Samsungの紛失防止タグ「Galaxy SmartTag+」である。(出所:COMPUTEX TAIPEI 2021のビデオからキャプチャー)
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 Samsungは同社のスマートフォンアプリケーション「SmartThings」に「SmartThings Find」と呼ぶ機能を用意している。あらかじめ紛失防止タグを付けたものを、身近な場所に置き忘れた場合に、紛失防止タグとスマホ間で交信して、その場所を特定する機能である。前世代のGalaxy SmartTagはBluetooth通信を使って位置を特定していたが、Galaxy SmartTag+ではBluetooth通信とUWB通信を併用することで、位置特定精度を上げた。さらにAR技術を併用することで、スマホのカメラ映像に見つけた場所を重ねてディスプレーに表示することができる。

AR機能を使って紛失防止タグの場所をスマホ画面に表示
AR機能を使って紛失防止タグの場所をスマホ画面に表示
クルマのキーに紛失防止タグが付けてある。(出所:COMPUTEX TAIPEI 2021のビデオからキャプチャー)
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 Galaxy SmartTag+に搭載されたNXPの通信ICは、UWB用の「Trimension SR040」とBluetooth用の「QN9090」である。このうち、UWB用のSR040は2020年10月に正式発表されている ニュースリリース 。SR040は接続するアンテナが1個のタイプ。10月に同時発表された「SR150」はアンテナが2個のタイプのUWB通信ICで、こちらはスマホに搭載される。SR040の1アンテナとSR150の2アンテナを使って三角測量が可能になり、紛失防止タグとスマホの距離、および方向を割り出す。

「Galaxy SmartTag+」が搭載する2つの通信ICの概要
「Galaxy SmartTag+」が搭載する2つの通信ICの概要
(出所:NXP Semiconductors)
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 NXPジャパンによれば、Bluetooth通信ICはスマホと紛失防止タグのペアリング、および大まかな距離の測定(すなわち、あたりをつける)に使う。そして上述のようなUWB通信IC間のやりとりで、精度の高い距離や角度の測定を行う。同社によれば、Bluetoothでは測距分解能は数m、一方UWBならば数cmだという。

Bluetooth通信とUWB通信を使って、距離と方向を測る手順
Bluetooth通信とUWB通信を使って、距離と方向を測る手順
(出所:NXP Semiconductors)
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