全1227文字
PR

 東芝デバイス&ストレージは、SiC MOSFETの構造を改良し、特性を向上させた ニュースリリース 。改良後の構造を採用した3.3kV耐圧のSiC MOSFETは、+175℃の高温環境下で、同社の改良前構造の同MOSFETに比べて逆方向導通可能電流量が2倍になった。また、構造改良後の3.3kV耐圧SiC MOSFETは、室温での特性オン抵抗(RonA)が改良前構造の同MOSFETに比べて約20%低減した。

今回のSiC MOSFETの構造と特性
今回のSiC MOSFETの構造と特性
図中の右上が今回の素子構造。下方にある特性のグラフで、「Developed」が今回改良した構造のMOSFET、「Conventional」が昨年(2020年)に発表した改良前構造のMOSFET、「MOS FET w/o SBD」が旧来構造のMOSFET。左下が特性オン抵抗(RonA)の比較で、今回の構造改良により20%低減している。右下が逆方向導通可能電流量(Reverse conductive current)の比較で、今回の構造改良により2倍になっていることが分かる。(出所:東芝デバイス&ストレージ)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は2020年にSiC MOSFETが抱える結晶欠陥問題の解決に向けて、それまでとは異なる新規のデバイス構造を開発、発表している*1。ここで言う結晶欠陥問題とは、SiC MOSFETのソース-ドレイン間のPNダイオードに通電すると、内在する結晶欠陥が増大してしまう事象を指す。この問題を解決するために、同社はPNダイオードと並列にショットキー・バリア・ダイオード(SBD)を配置する新規構造を考案した。SBDはPNダイオードよりもオン電圧が低いため、SBD側に電流が流れることで、PNダイオードへの通電を抑止し、結晶欠陥の増大を防げる。同構造で1.2kVのSiC MOSFETを試作のうえ効果を確認して、パワー半導体関連の国際学会「PCIM(Power Conversion and Intelligent Motion) Europe 2020」で発表した。

*1 関連記事:SiC MOSFETの結晶欠陥問題を解決へ、東芝が新デバイス構造