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 ドローン配送を手掛ける米Zipline International(ジップライン)は2021年6月30日(現地時間)、新たに2億5000万米ドル(1米ドル111円換算で277億5000万円)を調達したことを明らかにした。米メディアによると、同社の評価額は27億5000万米ドル。米国の「Crunchbase」によると、これまで2億3300万米ドルを集めているという。今回の調達により、総額は4億8300万米ドルとなる計算だ。

ジップラインのドローン
ジップラインのドローン
目的地の上空に着くと、着陸せずに荷物をパラシュートで落とす(出所:ジップライン)
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 ジップラインは、16年のルワンダを皮切りに、アフリカで緊急性が高い輸血用血液パックなどの医療物資を独自の機体を使い、オンデマンドで配送してきた。2019年にはガーナで同様のサービスを開始した。順調に実績を積んでいたところに、新型コロナウイルス感染症が拡大。これを機に、人と接する機会を減らせるドローン配送への需要が増えたことで、実績を大きく伸ばしている。21年6月30日時点で累積の配達回数は15万回を超え、総飛行距離は1000万マイルを超えている。

 2021年3月からガーナで、新型コロナウイルスワクチンをドローンで配送し始めた。コロナワクチンを共同購入して途上国などに分配する枠組みである「COVAX」の一環として配布業務を行っている。ガーナで配送を始めたコロナワクチンは、セ氏+2~+8度の冷蔵で取り扱い可能な英AstraZeneca(アストラゼネカ)製である。

 今後、米Pfizer(ファイザー)とドイツBioNTech(ビオンテック)と共同で開発したコロナワクチンも配送する予定。その実現に向けて、ジップラインはファイザーと提携すると21年6月に発表した。両社のワクチンはこれまで、厳しい保管が求められてきたが、規制当局が条件を緩和した。例えば米食品医薬品局(FDA)は21年5月、両社のワクチンについて、希釈前であればセ氏+2~+8度の冷蔵で最大1カ月間、保管することを認めた*1。この条件緩和が、ドローンによる配送を可能にしたといえる。

*1日本経済新聞の関連記事 ファイザー製ワクチン、1カ月冷蔵保管認める 米FDA

 ジップラインは物流拠点の拡大を図る。現在、ガーナに4カ所、ルワンダに2カ所の「ハブ」と呼ぶ物流拠点がある。21年内にガーナの拠点数を8カ所に増やす予定。これにより、配送できる医療施設の数が増え、ガーナの人口の85%をカバーできるとする。