全1061文字

 日野自動車の代表取締役社長に、親会社であるトヨタ自動車出身の小木曽聡氏が就任した。就任は2021年6月24日付け。社長だった下義生氏は代表権のある会長に就いた。新社長の小木曽氏は21年7月2日の就任会見で「燃料電池車(FCV)ではトヨタグループと一体となり競争力を上げていく」と意気込み、カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)需要に対応するためグループ連携を強化する方針を示した。

日野自動車の社長に就任した小木曽聡氏
日野自動車の社長に就任した小木曽聡氏
(出所:日野自動車の会見画面)
[画像のクリックで拡大表示]

 乗用車と同じく商用車でも脱炭素に向けた電動化の技術開発は進む。トヨタが18年に発売した燃料電池(FC)バス「SORA(ソラ)」では、電動制御やFCシステムをトヨタが担ったのに対し、車両と駆動部分の開発を日野が担当。製造も日野が担っている。今後も連携強化を加速し、大型FCトラックを両社で共同開発する計画である。

 小木曽氏は会見で電動化への早急な対応が必要と訴えた一方、「顧客・荷主の役に立たなくては電動商用車は普及しない」と述べ、販売台数を追うよりも利便性や経済性といった質の向上が不可欠であると強調した。

新たな仲間づくり戦略をけん引

 日野は技術開発の効率化を狙って“仲間づくり”を進めてきた。18年にはドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)の商用車部門であるTRATON(トレイトン)と提携した。狙いは商用電気自動車(EV)を早く安く開発すること。両社の車両ラインアップをカバーする車台や基幹部品を一括企画し、各社でこれを活用して商用EVを造り込む。

 さらに日野は、20年4月に中国・比亜迪(BYD)と商用EV開発などで協業を始めた。BYDとは車両本体の共同開発に取り組む。日野はまずBYDからOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受け、小型EVバス「ポンチョ Z EV」として22年春に日本市場へ投入する。

 21年4月には親会社のトヨタを介して、いすゞ自動車との連携も強化。新会社Commercial Japan Partnership Technologies(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)を3社で設立した。小型トラックを中心に、中型トラックやバン、ピックアップトラックなどで電動化に向けた技術開発を進めていく。開発コストの削減が念頭にあり、日野といすゞの小型EVトラック向け車台の共通化も現実味を帯びる。

 新社長の小木曽氏は、トヨタで小型ハイブリッド車(HEV)「アクア」の開発責任者を務めるなど電動化技術に詳しい。電動化を軸とした、新たな仲間づくり戦略をけん引する。