村田製作所は2021年7月14日、車載関連の開発拠点を報道陣に公開した。目玉となるのが、ローラー上で自動車の路上走行を再現するシャシー・ダイナモ・メーター(以下、シャシダイ)を備えた大型の電波暗室だ。自動車メーカーとの連携を強化することで、“指名買い”を増やす狙いがある。
拠点は、村田製作所が20年12月にみなとみらい21地区に設立した研究開発拠点「みなとみらいイノベーションセンター」に設けた。電波暗室の他に、車載部品の展示施設「Murata みらい Mobility」や自動車を分解・検証できるピット施設などを備える(図1~3)。
同社執行役員でみなとみらいイノベーションセンターの事業所長を務める川平博一氏は「研究開発(R&D)の段階から自動車メーカーと協力関係になることが大事で、これが指名買いにつながる」と語る(図4)。
村田製作所は自動車業界で2次部品メーカー(Tier2)の立場にいる。自動車メーカーとの強固な関係を構築することで、自動車メーカーから1次部品メーカー(Tier1)に対して「村田製作所から部品を調達するように」といった指定を得やすくなるという。
その関係強化を進める上で重要になるのが、自動車メーカーと議論したり共同開発したりする場である。シャシダイ付きの大型電波暗室は、自動車メーカーや大手Tier1は社内に構築していることが多いが、「Tier2では異例で、当社にとっても初」(村田製作所)だ。