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 オランダNexperia(ネクスペリア)は、英国の半導体受託製造(ファウンドリー)企業「Newport Wafer Fab(NWF:ニューポート・ウエハー・ファブ)」の株式を100%取得したと2021年7月5日(現地時間)に発表した ニュースリリース 。これにより、NWFはNexperiaのニューポート工場になった。Nexpeiraは上流(拡散)工程の工場をドイツのハンブルグとイギリスのマンチェスターに所有しており、ニューポート工場は3番目に当たる。

NexperiaのNewport工場
NexperiaのNewport工場
(出所:Nexperia)
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 NWFは82年にイギリスINMOS(インモス)が並列処理MPU(マイクロプロセッサー)「Transputer」の工場として建てた。89年に同工場を伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)が取得した。同社は同工場でSRAMやMPUを製造していた。02年には米International Rectifier(IR:インターナショナル・レクティファイアー)が取得。パワーMOSFETやIGBTなどを製造していた。その後IRをドイツInfineon Technologies(インフィニオン・テクノロジー)が買収したことで、Infineonが所有することになった。17年にInfineonの同工場売却により、NWFが発足した。

 NexperiaはNWFのユーザーの1社で、19年にはNWFの第2位の株主になった。買収時のNWFの生産能力は200ウエハー換算で3万5000枚/月を超え、イギリスで最大の半導体工場とされる。MOSFETやトレンチIGBT、アナログ、化合物半導体などを製造している。NWFの買収により、Nexperiaは自動車向け製品の供給能力および市場シェアを拡大させる意向である。

 なお、Nexperiaが今回の発表を行った2日後(21年7月7日)に、英国のBoris Johnson首相が「英国の国家安全保障上の理由で、NexperiaのNWF株式の100%取得に関する調査を行う」と述べたことを、複数の欧州メディアが報じている*1。NexperiaはオランダNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)のディスクリート部門が分離独立して発足し、本社はオランダにあるが*2、中国の聞泰科技(ウィングテック)の子会社であることが影響しているとみられる。

*1 例えば、BBC NewsのWebサイトの記事 *2 関連記事 中国資本だけど欧州企業、分離独立予定のNXP汎用製品事業