米Xilinx(ザイリンクス)は、新世代品FPGA「Versal ACAP(Adaptive Compute Acceleration Platform)」の第5弾製品として「Versal HBMシリーズ」を2021年7月14日(米国時間)に発表した ニュースリリース 。第5弾の特徴は、製品名にあるように、ダイを縦積みした大容量DRAM「HBM(High Bandwidth Memory)2e」を最大32Gバイト搭載したこと。既存FPGAにDDR5型DRAMを外付けする構成に比べて、メモリー帯域幅は8倍の820Gバイト/秒となり、消費電力も63%削減できるという。
Versal ACAPは18年10月に概要が公表され*1、その後Xilinxは、具体的な製品を順次発表してきた。第1弾と第2弾の「Versal AI Coreシリーズ」と「Versal Primeシリーズ」*2は19年6月に、第3弾の「Versal Premiumシリーズ」*3は20年3月に、第4弾の「Versal AI Edgeシリーズ」*4は21年6月にそれぞれ発表された。これらのうちAIが付く2シリーズ(AI CoreとAI Edge)はAI処理向けのベクトル・プロセッサー・アレー「AI Engine」を備える。残り2つはAI Engineを持たない。ベーシックな製品はPrimeシリーズで、同シリーズにネットワーク処理向けハードウエアIPコア群を加えたのがPremiumシリーズである。
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