全1253文字

 NTTは2021年7月27日、同社が掲げる光技術を活用した次世代情報通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想の実現に向けて、ソフトウエア開発を手掛けるACCESSと業務提携すると発表した。両社は、IOWN構想の一環で開発を進める「ホワイトボックス」について、ネットワークOS分野における外販や保守サポート体制を整える。2022年度までにネットワークOSの商用化を進め、世界へ販売していく考えだ。

NTT研究所が開発したネットワークOSをACCESSの販路で外販・保守することを狙う
NTT研究所が開発したネットワークOSをACCESSの販路で外販・保守することを狙う
(出所:NTT)
[画像のクリックで拡大表示]

 「スケールの大きなIOWN構想においては、大きな海の中の小さな石のような提携かもしれないが、事業開発に向けて具体的な一歩を踏み出した」――。今回のACCESSとの提携について、NTT執行役員 経営企画部門 事業企画室長の柳瀬唯夫氏はこのように語る。

 IOWN構想とはNTTが19年に公表した、世界のインターネットや情報処理基盤を変革しようという壮大な構想のこと。目標とする電力効率は現在の100倍。伝送容量も同125倍、エンド・ツー・エンドの遅延も同1/200と、極めて野心的な目標を掲げる。

 多くの要素技術で構成するIOWN構想の中でも、中心的な役割を果たすのが「ディスアグリゲーテッド・コンピューティング」と呼ぶ新たなコンピューティング基盤だ。現在のサーバーアーキテクチャーを一新しCPUやメモリー、アクセラレーター間を高速な光回路で結ぶことで、電力消費を抑え、パフォーマンスを向上させたコンピューティング基盤の実現を目指している。

ホワイトボックスの応用分野は、ルーターやスイッチのほか、仮想化基地局もターゲットに入る
[画像のクリックで拡大表示]
ホワイトボックスの応用分野は、ルーターやスイッチのほか、仮想化基地局もターゲットに入る
(出所:NTT)

 NTTはディスアグリゲーテッド・コンピューティングのアーキテクチャーを採用したホワイトボックスを25年にも実現したい考えを示している。搭載するソフトウエアによって、ルーターやスイッチ、仮想化基地局にもなるようなイメージだ。今回のACCESSとの提携は、ルーターやスイッチ、光伝送というネットワークOS分野におけるホワイトボックスの外販やサポート体制を築くことが狙いだ。

NTT研究所は「GoldStone」「Beluganos」と呼ぶネットワークOSを開発するものの、保守サポート体制の確立が課題だった
NTT研究所は「GoldStone」「Beluganos」と呼ぶネットワークOSを開発するものの、保守サポート体制の確立が課題だった
(出所:NTT)
[画像のクリックで拡大表示]

 NTT研究所は、光伝送向けネットワークOSとして「GoldStone」、スイッチ向けネットワークOSとして「Beluganos」というソフトウエアを開発している。これらはホワイトボックスに搭載可能であるものの、実際の事業化に向けては外部顧客への販売体制や保守・サポートの確立が課題になっていた。

 ACCESSは、ネットワークOS分野の開発・保守を手掛ける米IP Infusionを子会社に持つ。海外に販路を持つことから、NTTはIOWN構想を世界に広げるパートナーの1社としてACCESSと提携した。

 NTTとACCESSは古くから関係が深い。ACCESSは、NTTドコモの「iモード」商用化の際、当時の限られた携帯端末のメモリー空間で動作するブラウザー開発という重要な役割を担った。その後、iモードの衰退と共に、両社の関係は疎遠になったが今回、IOWN構想の世界展開という新たな目標のもと、NTTとACCESSは再び共同歩調を取る。