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 トヨタ自動車は2021年7月19日、小型ハイブリッド車(HEV)「アクア」の新型を発売した(図1)。初代の登場から約10年、「次の10年を見据えたコンパクトカー」は初めての全面改良でどう進化したのか。2代目アクアの特徴や搭載した新技術など、知っておきたい項目をまとめた。

図1 トヨタ自動車の新型「アクア」
図1 トヨタ自動車の新型「アクア」
(出所:トヨタ自動車)
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Q1:そもそもアクアってどんなクルマ?
Q2:競合する車種は?
Q3:気になる燃費はどれくらい?
Q4:HEVなのにカーボンニュートラルに貢献するの?
Q5:新型アクアが採用したプラットフォームとは?
Q6:ヤリスとどう違うの?
Q7:“世界初”の「バイポーラ型」の電池ってどんなもの?
Q8:災害対策で標準搭載したシステムは?
Q9:「快感ペダル」は日産自動車の「ワンペダル」と同じもの?
Q10:新型アクアに採用された主要部品のサプライヤーは?

Q1:そもそもアクアってどんなクルマ?

 アクアは、トヨタが11年に初代モデルを発表した小型HEVである。最大の売りは燃費で、「プリウス」超えが初代の開発陣に与えられた課題だった。結果、アクアが実現した燃費は35.4km/L(JC08モード)。プリウスが持つ32.6km/L(JC08モード)という世界最高の低燃費を塗り替えたことが大きな話題になった。

 初代アクアの価格は169万円(税込み)からと、当時のHEVとしては異例の安さも注目を集めた。優れた燃費性能や手に入れやすい価格を武器に、アクアの販売台数は累計で187万台を超えた。初代の衝撃から約10年を経て、アクアは21年7月に2代目へと進化した。

Q2:競合する車種は?

 アクアの競合車は、同じく小型HEVであるホンダの「フィット」や日産自動車の「ノート」である()。トヨタの小型車「ヤリス」のHEV仕様もアクアと同セグメントに属する。

表 新旧アクアと各社の小型HEVの比較
表 新旧アクアと各社の小型HEVの比較
各社の発表データを基に日経Automotiveが作成。
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Q3:気になる燃費はどれくらい?

 新型アクアの燃費性能はWLTCモードで35.8km/L。先代車から約2割高めた。競合車種であるホンダのフィットは同29.4km/L、日産のノートは同29.5km/Lである。今回の全面改良でアクアが大きく差をつけた。

 小型HEVの競争軸を巡っては、燃費から使い勝手への移行を進めようとする自動車メーカーも出てきた。新型アクアの開発責任者を務めたトヨタTC製品企画チーフエンジニアの鈴木啓友氏は、状況の変化をこう分析する。「燃費の重要性が若干落ちていることは当社のマーケティング調査でも確認している。それでも高い関心はあり、我々は引き続きダントツの性能を実現していかなければならない。それが使命であり存在意義だと思っている」。

Q4:HEVなのにカーボンニュートラルに貢献するの?

 「真にカーボンニュートラルに貢献できる幅広い選択肢を、手に届く価格で提供することが小型車にとっての本当の道筋だ」――。新型アクアについてこう語るのは、トヨタのコンパクトカーカンパニープレジデントの新郷和晃氏である。

 一部でカーボンニュートラルを達成できるのは電気自動車(EV)だと思われている現状について新郷氏は、「クルマが走行中に出す温暖化ガスだけで判断してはいけない」と強調する。温暖化ガスは車両や電気を作る過程でも発生するからだ。ライフサイクル全体で比較すると、HEVとEVのCO2排出量は同程度であるとのデータもある(図2)。電力供給に占める火力発電の割合が7割を超える日本では、カーボンニュートラルについて「総合的に判断することが非常に大切」(同氏)とした。

図2 ライフサイクル全体での二酸化炭素(CO<sub>2</sub>)排出量の比較
図2 ライフサイクル全体での二酸化炭素(CO2)排出量の比較
トヨタによると、ライフサイクル全体のCO2排出量はEVとHEVで同程度という。(出所:トヨタ自動車)
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