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Q5:新型アクアが採用したプラットフォームとは?

 トヨタの車両開発手法「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づく小型車向けプラットフォーム「GA-B」を採用した。

 トヨタはTNGAに基づくプラットフォームを今のところ5種類用意しているが、このうちGA-Bが最小である。Bセグメントクラスの小型車向けで、アクアの他に小型ハッチバック「ヤリス」やその派生車である小型SUV(多目的スポーツ車)「ヤリスクロス」もアクアと同じGA-Bプラットフォームを使う。

 プラットフォームの刷新によって、新型アクアはホイールベースを先代から50mm長くした。ホイールベースの延長分は主に、後席の足元空間の拡大に使った。

Q6:ヤリスとどう違うの?

 同じGA-Bプラットフォームを使うアクアとヤリス。車両寸法はほぼ同じで、HEVの燃費にも差異はほとんどない。トヨタ社長の豊田章男氏が「ヤリスがある中でのアクアらしさ。多くの人が苦労したんじゃないか」と言うほどだ。

 新型アクアの開発責任者である鈴木氏は2つの車両の違いについて、「上質感や洗練された雰囲気を重視したのが今回のアクア。ヤリスは操る楽しさに主眼を置いたクルマで、凝縮されたパッケージの中で運動性能を追求した」と説明する。

 トヨタの分析では、アクアの購入層として「大きなクルマから乗り換える“ダウンサイザー”が多い」(鈴木氏)。中大型車の乗り心地に慣れた消費者を満足させるために、操縦安定性の向上に「お金を使った」(同氏)という。

 その一例が、「スウィングバルブショックアブソーバー」の採用である。最上位の「Z」グレードのみの搭載だが、高級車ブランド「レクサス」の車両に使う技術を適用した。スウィングバルブショックアブソーバーは、アブソーバーのオイル流路にバルブを設け、微小な動きに対しても流路抵抗による減衰力を発生させるもの。アブソーバーのストローク速度が極めて低い場合でも、減衰力を維持する。フラットな車両姿勢での安定感や高速走行時の乗り心地を高める。

Q7:“世界初”の「バイポーラ型」の電池ってどんなもの?

 新型のニッケル水素電池で、駆動用の車載電池として採用するのは新型アクアが「世界初」(トヨタ)である。リチウムイオン電池パックと比較すると、体積当たりの容量で25%増を実現した。豊田自動織機が量産する。

 従来型のニッケル水素電池は、正極と負極の活物質を別々の集電体に塗り、セパレーターを挟んで電解液を注入した1つのセルとして独立している。複数のセルを組み合わせてモジュールにする際は、集電体の横から出したダブをつないで電流を流す。

 一方、トヨタが今回採用したバイポーラ型は、集電体の片面に正極を、もう一方の面に負極を塗って「バイポーラ(Bipolar:双極)電極」とし、これを複数枚重ねる構造の電池モジュールである。従来型のニッケル水素電池に比べて集電体の枚数や電池セルの外装材の使用量など、部品点数を減らせるため小型化に向く。さらに、通電面積が広く大電流を流しやすい。

 新型アクアには、バイポーラ型のニッケル水素電池以外に、リチウムイオン電池を搭載するグレードが存在する。リチウムイオン電池を採用したのは意外にも、最も廉価な「B」グレードだ。理由は明快で、「バイポーラ型のニッケル水素電池の方がコストは高い」(鈴木氏)。Bグレードは法人利用が多く、購入時は価格を重視する傾向が強い。