米Texas Instruments(TI:テキサス・インスツルメンツ)は、センサーなしで制御が可能な、3相BLDC(ブラシレスDC)モーター向けドライバーICの新製品を発表した ニュースリリース 。制御プログラムのコーディングが不要なタイプの製品で、同社によればユーザーの設計者は10分以内に新規のBLDCモーターを動かすことができるという。70Wまでの家電製品や医療機器、産業機器への適用を狙う。

日本の報道機関向けにオンラインで新製品を紹介したTIのPunya Prakash氏(Brushless DC Motor Drivers Product Line Manager)によれば、同社をはじめコーディングが不要なタイプのモータードライバーICは複数が市場投入されている*。このタイプのICでは、ユーザーはデータシートなどからモーターのパラメーターを取得し、それをICの開発用ソフトウエアに入力すれば、最適制御の手順がICにセットされる。
* 関連記事 「3相ブラシレス・モーターを5分間で思い通りに制御」、TIがC2000マイコンの新製品今回の新製品は、コーディングが不要な既存品を1歩進めたものだ。すなわち、モーターのパラメーターを自動的に取り込める機能を搭載した。これによって、ユーザーはデータシートから数字を拾って、それを入力する手間が省ける。新製品で自動的に取り込めるパラメーターは、モーターの巻線抵抗(winding resistance)、巻線インダクタンス(inductance resistance)、逆起電力定数(back EMF constant)、機械的負荷慣性(mechanical load inertia)、摩擦係数(rictional coefficients)である。
パラメーターの取り込みに当たっては特別な部品や装置を外付けする必要がないため、開発時だけでなく、フィールドで使用している際にも実行できる。電源投入の度に、パラメーターを取り込むような設定が可能である。「データシート上のパラメーターは基本的に標準値。動作環境や経年劣化などによって実際のパラメーターは変化する。今回の新製品ならば、実際のパラメーターを自動的に取り込めるため、モーターの状態に合った最適制御がいつでも行える」(Prakash氏)。
Prakash氏は、新製品の特徴は、ユーザーの応用開発が楽なこと以外にもあるという。例えば、基板面積の削減である。新製品は約18個のディスクリート部品を統合したもので、最大で70%の基板面積を削減可能とのことだった。