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 「Twitterを見ると、“5Gにつながっているのになぜ止まる?”“5Gかえって邪魔なんだけど”といったコメントを多く見かける。ソフトバンクは、このような“5Gパケ止まり”の改善に取り組んでいる」。ソフトバンク常務執行役員兼CNO(チーフネットワークオフィサー)の関和智弘氏は、2021年9月14日にオンライン開催した同社の発表会でこのように打ち明けた。

 関和氏によると、5Gにつながっているのにパケット通信が止まったりする現象は、「ソフトバンクに限った話ではなく、通信事業者共通の課題。5G展開の拡張期に生じる深刻な問題」と指摘する。

ソフトバンクによると5Gパケ止まりは、5G拡張期に起きる各社共通の課題という
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ソフトバンクによると5Gパケ止まりは、5G拡張期に起きる各社共通の課題という
(出所:ソフトバンクの発表会をキャプチャー)

 関和氏は5Gパケ止まりのメカニズムについて、「5Gの連続性が不十分なエリアにて、無理に5Gを使わせようとすることがパケ止まりにつながる」と説明する。5Gエリアの端に利用者がいる場合、5G電波が弱いにもかかわらず、5Gによる通信を優先することがあり、それがパケ止まりを発生させるということだ。現時点で携帯各社は、まだまだ5Gエリアを広げている最中。このようにまだらなエリアが多い時期に、パケ止まりが起こりやすくなる。

 ソフトバンクは、5Gパケ止まりを改善するため、「5Gエリアの端の通信品質にこだわって最適化している」(関和氏)という。具体的には、どうしても速度が遅くなってしまう端末から基地局の上り通信について、「5Gエリアの端ではLTEに優先して接続するような制御を進めている」(同氏)。上り通信は速度低下の影響を受けやすく、パケ止まりにつながりやすいからだ。

ソフトバンクは品質改善に取り組んだ結果、グループ会社のAgoopの調べで他社よりも、特に5G上り通信の品質を改善できている結果が見えてきたという
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ソフトバンクは品質改善に取り組んだ結果、グループ会社のAgoopの調べで他社よりも、特に5G上り通信の品質を改善できている結果が見えてきたという
(出所:ソフトバンクの発表会をキャプチャー)

 このような取り組みの結果、ソフトバンクのグループ会社であるAgoopが調べた携帯大手3社の5G速度比較では、ソフトバンクが他社と比べて、特に5G上り通信速度が改善しているという調査結果を示した。

ソフトバンクの5Gエリアは10月末に人口カバー率80%、基地局数2万局に

 とはいえ根本的に5Gパケ止まり問題を解消するには、いち早く5Gエリアを全国津々浦々まで広げるしかない。ソフトバンクは5Gエリアの拡大を急ピッチで進めていることも明らかにした。同年9月13日時点で同社の5Gエリアは、5G基地局が1万4000局超に、人口カバー率に換算すると59%超に達したという。同年10月末には、5Gの人口カバー率80%、基地局数2万局を達成するという見通しも示した。

 ソフトバンクは既存周波数帯の5G転用や、KDDIと5G設備共用を進める合弁会社「5G Japan」も活用しながら、5G展開を加速している。関和氏によると「5G Japanによる(5G展開の)貢献度は、これからさらに加速する」という。