米Apple(アップル)は2021年9月14日(米国時間)、スマートフォン(スマホ)の新製品「iPhone 13」シリーズを発表した。「iPhone 12」シリーズと同様、標準モデルとmini、Pro、Pro Maxの4機種を用意した。いずれもカメラ性能を強化した。加えて、新しいプロセッサー「A15 Bionic(以下、A15)」を搭載し、各種性能の向上を図った。A15は「主要な他社製品よりも高速」(同社)だとして、業界最高水準の演算処理性能をアピールした。2次電池(バッテリー)やディスプレーなども強化している。
スマホの主な競争軸はここ数年、カメラ性能にある。iPhone 13シリーズ4機種すべてに「センサーシフト式」の手ぶれ補正機構を導入した。iPhone 12シリーズでは、Pro Maxだけだった。同方式では、イメージセンサーを上下左右(X軸方向とY軸方向)にシフトさせることで、手ぶれを抑える。例えば、低照度の環境下における手持ちの撮影でもきれいな写真を撮りやすい。
センサーシフト式は、これまでもレンズ交換式カメラに「ボディー内手ぶれ補正」といった名称で採用されてきた。レンズ側に手ぶれ補正機構を設けなくて済むメリットがある。レンズを交換しないスマホでは、レンズを動かすレンズシフト式に比べて光学系を簡素化し、小型化につながる。
加えて、カメラに搭載するイメージセンサーの性能も向上している。iPhone 12シリーズと同じ画素数のまま、iPhone 13シリーズでは1画素当たりのサイズを大きくした。画素が大きいほど、取り込める光の量が増えるので、暗所撮影に向く。
例えば、iPhone 13と13 miniでは、2つの背面カメラのうち、「Wide(広角)カメラ」で従来に比べて大きな画素のイメージセンサーを採用した。画素サイズは1.7μmだ。これまでのアップルのデュアルカメラシステムに搭載したイメージセンサーの中で最大であり、従来に比べて取り込める光の量が47%増えたという。
13 ProとPro Maxにおける3つの背面カメラのうち、広角カメラに搭載したイメージセンサーの画素サイズはさらに大きい。1.9μmである。加えて、F値1.5の明るいレンズを採用した。iPhone 12 ProとPro MaxではF値1.6だった。「Ultra Wide(超広角)カメラ」にもF値が1.8と明るいレンズを採用し、暗所での撮影機能を高めた。
動画撮影機能も強化。ある被写体から別の被写体に焦点を切り替える、映画のような動画撮影機能「Cinematic mode」をiPhone 13シリーズ4機種に導入した。シーンに応じて、ピントを合わせる被写体を自動で変更できる。撮影者が画面をタッチすることで、ピントを合わせる被写体を選べる。