米Apple(アップル)は2021年9月14日(米国時間)、タブレット端末「iPad mini」と「iPad」の新製品を発表し、同日に販売を始めた。中でもiPad miniは前世代品(第5世代品)の発売から約2年半が経過しており、今回は大幅な性能向上を果たした。iPadは手ごろな価格がウリで、新型コロナウイルスの影響で自宅学習が増えた結果、教育分野などで需要が急増した。オンライン発表会では、新iPadのコストパフォーマンスの高さを強調し、教育市場を念頭に置いたプレゼンを行った。同市場で存在感を示す米Google(グーグル)の「Chrome OS」を搭載した低価格パソコン「Chromebook」への対抗心を見せた。
新iPad miniのプロセッサーには、今回の新iPhone(iPhone 13シリーズ)と同じ「A15 Bionic」(以下、A15)を搭載。同シリーズでは、13と13 miniでGPUコアが4つのA15を、13 Proと13 Pro MaxではGPUコアが5つのA15を採用している。新iPad miniは5コア品を採用した。5G(第5世代移動通信システム)に対応するモデルも用意。画面サイズは8.3型と、前世代の7.9型に比べて大きい。iPhone 13を踏襲したような外観デザインにし、カメラ機能の違いを除けば、「Proシリーズよりも大きなiPhone」のような存在になった。
iPhone 13シリーズほどではないものの、カメラは前世代品から大幅に性能が向上した。新iPad miniでは、背面側と正面側のカメラの画素数はいずれも約1200万画素になった。前世代品では背面側が約800万画素、正面側は700万画素だった。
コネクターは前世代品では「Lightning」だったが、今回、USBの「Type-C」コネクターを採用した。これにより、前世代品に比べて10倍高速となる最高5Gビット/秒のデータ転送に対応する。この他、ペン型入力端末「Apple Pencil」の第2世代品に対応する。
一連の性能向上を図りつつ、価格は499米ドルからと比較的安価に抑えた。さらに安価なのが10.2型ディスプレーを備える新iPadである。価格は329米ドルからで、学生や教職員向けでは299米ドルからとなる。iPad miniと性能が異なるとはいえ、入門機としてみると、前世代のiPadから性能を高めつつ、300米ドルを下回る新iPadは、コスパに優れるモデルだといえる。
具体的には、新iPadでプロセッサーを「A13 Bionic」(以下、A13)にした。前世代品では「A12 Bionic」だった。A13の搭載によって、前世代品に比べて演算処理性能が20%向上。「Chromebookの最も売れているモデルに比べて最大3倍高速、Android搭載の最も売れているタブレット端末に比べて最大6倍高速」(アップル)とアピールした。ストレージ容量は64Gバイトからで、前世代品に比べて2倍になった。
なお、新しいiPad miniとiPadは、100%再生アルミニウムの筐体(きょうたい)を使用。これにより、iPadシリーズすべてのモデルで、100%再生アルミニウム製になった。