「多様な価値観に寄り添っていく。(家電を通じて)一人ひとりにちょうどいい暮らしを提供する」(パナソニック専務執行役員アプライアンス社社長の品田正弘氏)(図1)。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、ユーザーの住宅空間がプライベートだけでなく、仕事などでの利用に広がっている。そこでパナソニックは2021年9月21日に実施した新製品発表会で、ユーザーの暮らし方が変わっている今だからこそ、それに応える家電製品を生み出していくことが重要だと訴えた。
その一環として、家電領域でのIoT技術の開発に力を注いでいく。24年度の目標として「家電製品の中でIoT家電が構成比で6割になるようにする。さらに1000万人のユーザーとつながっていく」(同社アプライアンス社副社長兼日本地域コンシューマーマーケティング部門長の河野明氏)とした(図2)。
IoT家電はインターネットにつながってこそ価値を提供できる。しかし現実には、「白物家電で最も接続率が高いのはロボット掃除機だが、それでも約5割程度」(河野氏)。そこで同社は21年6月から一部の製品でQRコードのスキャンによって、商品情報の読み取り・インターネット接続を補助できるようにしたという。
今回発表した新製品の1つが、21年11月中旬に発売するエアコン「Eolia(エオリア)LXシリーズ」である。同製品はユーザーの状況に合わせて製品を運転する「シーン推定自動運転機能」を搭載する。例えばユーザーがスマートフォンに「Eoliaアプリ」をダウンロードしていると、GPSでユーザーの位置情報を把握し、帰宅前に室内環境を整えられる(図3)。
さらに「快適な睡眠環境を生み出す寝室向けエアコンを開発している」と河野氏は発言した(図4)。「エアコンユーザーの3割が温度や風量などを変えるために寝静まった夜中にエアコンを操作していることが使用データから分かった。現状では、睡眠中のエアコンの運転動作に満足してもらえていない」(同氏)。同社の睡眠に関する研究ノウハウを開発に生かし、夜中に操作しなくても快適な睡眠環境を提供できることを目指す。
また新サービスとしてIoT家電を利用した「音声プッシュ通知」を21年10月から開始する(図5)。テレビやロボット掃除機といった家電製品から、洗濯機や冷蔵庫などの稼働状況に加えて、天気などの暮らしに関わる情報を音声で提供できるようにする。22年春にはヤマト運輸と協力し、「宅配便に関する通知」にも対応できるようになる。