トヨタ自動車は2021年9月29日、トヨタおよびレクサス販売店における不正車検問題を受けて、全国販売店の4852拠点を総点検した結果を発表した。販売店11社12店舗で不正車検を実施していたことが判明した。対象となる車両は1345台である。
今回の総点検のきっかけは、トヨタ系販売大手のATグループ傘下の販売会社「ネッツトヨタ愛知」の不正車検である。21年3月に5158台の不正車検が発覚した。その後、直営販売会社であるトヨタモビリティ東京の販売店「レクサス高輪」での不正車検も明らかになった。一部の検査を実施しなかったことに加えて、基準を満たす値に改ざんしていた。21年6月17日、国土交通省関東運輸局東京運輸支局が同販売店の監査に入り、発覚した。
ATグループを含めると、販売店12社13店舗で合計6503台の不正があったことになる。トヨタ国内販売事業本部本部長の佐藤康彦氏は「国の認可を受けた重要な指定整備事業であるにも関わらず、お客様の安心と安全を優先せず、それらを損なう結果となったことを何よりも重く受け止めている」と語った(図1)。
総点検で見えた5つの課題
新たに不正が発覚した12件のうち、今回の総点検も含めてトヨタ社内で見つけたのは8件だった。残る4件は、国土交通省各運輸支局による監査で分かった。12件のうち、6件は「故意性がある」とトヨタは判断した。
トヨタによると、総点検の結果から5つの課題が見えてきたという。(1)サービス現場における過大な業務量とエンジニアの人員不足、(2)車検制度への役割認識と順法意識の不足、(3)経営層・管理者と現場作業者の風通しの悪さ、(4)指定整備における監査機能の不備、(5)車検を正しく行うための顧客への確認や説明の不足――である。
今後、販売店とトヨタでそれぞれ対策を講じていく。