トヨタ自動車は2021年10月1日、立ち乗りタイプの超小型電動モビリティーを日本で発売した。日常生活で長距離の歩行に困難を感じている高齢者などの移動を支援する目的で開発した。1人乗りで、歩く速度で走行する。車両前方の障害物や人を検知して、衝突を回避する予防安全にも対応した(図1)。
今回の車両「C+Walk T」は前輪が1つ、後輪が2つの3輪構成で、前輪のホイール内にモーターを搭載する電動車である。最高速度は6段階(2、3、4、5、6、10km/h)で設定できる。電動キックボードに似ているが、トヨタZEV B&D Labグループマネージャの谷中壮弘氏は「異なる乗りもの」と否定した。車両価格(消費税込み)は34万1000円(オプション搭載車は35万4200円)。豊田鉄工が生産する。
現時点で公道(歩道)を走行できないため、ショッピングセンターや公園、空港などでの利用を想定する。また、広大な施設内や警備の現場などで働く高齢者の歩行負担の軽減にも寄与できるとみる。谷中氏は「関連法規の改正動向を踏まえ、将来的には公道での利用も見据えている。誰もが自由に歩いて移動できる環境の実現を目指す」という。
総電力量0.27kWhのリチウムイオン電池パックを樹脂製ボディー内に搭載し、1充電あたりの走行距離は約14kmである。電池パックは取り外し可能で、付属の専用充電器(単相100V/6A)を使うと約2.5時間で満充電にできる(図2)。
車両寸法は全長700×全幅450×全高1210mm。全長は人の歩幅程度、全幅は人の腰幅程度とした。身長が140~185cmの人に合わせて全高を設定した。最大操舵(そうだ)角は90度で、最小回転半径は0.59m。その場での回転も可能だ。
発進・加速・減速・停止の操作には基本的に、ステアリングの左右にあるアクセルレバーを使う。レバーを押すと発進し、離すと停止する。ブレーキレバーは、緊急時に使う(図3)。