三菱重工業が二酸化炭素(CO2)回収技術で攻勢をかけている。2021年10月12日にオンラインで開いた事業説明会にて、規模によっては百億円超にもなる「CO2回収プラント」関連のコストを約3割下げられるという見通しを表明した。コスト削減の鍵となるのは量産効果の創出や設備の標準化。技術進歩によってはさらなる低コスト化も見えてくる。カーボンニュートラル需要の拡大を追い風にシェアを伸ばし、同技術で世界を先導する「グローバルリーダー」としての地位確立を目指す。
同社が注力するのは「CCUS(Carbon dioxide Capture,Utilization and Storage)」と呼ぶ技術領域であり、CO2の回収、転換利用、貯蔵までを包括的に手掛けていくものだ。三菱重工グループは排ガスからCO2を回収するプラント技術に強みを持ち、「現状、世界シェアの約7割を押さえている」(同社成長推進室エナジートランジションCCUSビジネスタスクフォースリーダーの洲崎誠氏)。
三菱重工グループが持つCO2回収プラントの技術は、製鉄の高炉やゴミ焼却炉などで発生する排ガスからCO2を回収し、きれいになった空気を大気中へ放出。回収したCO2は肥料やプラスチックの原材料に再利用したり、枯渇した油田・ガス田に圧入して閉じ込めたりする。アミン系溶媒を使った化学吸収法を採用しており、排ガスからのCO2回収割合は90%以上と高い。