トヨタ自動車は2021年10月14日、レクサスブランドの新型SUV(多目的スポーツ車)「LX」を、サウジアラビアとアラブ首長国連邦で世界初公開した。プラットフォーム(PF)を刷新することなどで、オフロードタイプの大型SUVとしての基本性能を高めたのが特長である。
盗難が多いとされる同車のセキュリティーを強化するため、指紋認証センサーによるスタートスイッチを、レクサス車として初めて採用した。新型車は中東や北米、日本などに投入する計画で、日本における発売は22年初頭を予定する(図1)。
トヨタが約14年ぶりに全面改良した新型「レクサスLX」(以下、新型車)は、オフロードタイプの大型SUVである。同タイプの大型SUVには、21年8月に発売されたトヨタブランドの新型「ランドクルーザー」(以下、新型ランクル)がある。
新型ランクルと同じプラットフォームを適用
今回の新型車は新型ランクルと同様に、トヨタの車両設計・開発手法「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づくラダーフレーム車向けPF 「GA-F」を適用した(図2)。同じPFを使ったことで両車は、エンジンやサスペンション、ボディーなどで共通する部分が多い。
エンジンでは、排気量3.5LでV型6気筒のツインターボガソリンエンジン「V35A-FTS」を搭載。変速機は10速AT(自動変速機)を組み合わせる。新型ランクルには、排気量3.3LでV型6気筒のツインターボディーゼルエンジン車もあるが、今回の新型車は新型ランクルと同じガソリンエンジンだけを搭載した。
また新型ランクルと同様に、エンジンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動した。これにより前後重量配分の改善とともに、低重心化を実現した。
サスペンションも新型ランクルと同じで、前はダブルウィッシュボーン式、後ろはトレーリングリンク式である。先代車に比べて前部サスペンションのリバウンドストロークを15mm、後部サスペンションの同ストロークを20mm拡大し、オフロードの走破性とオンロードの操縦安定性を高めた。
ボディーでは、骨格への高張力鋼板の使用量の拡大に加えて、フロントフードやルーフ、前後ドアのパネルなどにアルミニウム(Al)合金を採用した(図3)。新たな溶接技術を適用することで、ラダーフレームも軽量化した。これにより、先代車に比べて車両質量を200kg軽くした。ルーフへのAl合金の採用は、重心を下げる効果もある。こうした対策も新型ランクルと共通する。