「米ブルーヨンダー(Blue Yonder)の買収では、パナソニック製品とのシナジーを問わない」。パナソニック代表取締役専務執行役員でコネクティッドソリューションズ社社長の樋口泰行氏は2021年10月22日に開催した合同取材でこのように語った(図1)。
パナソニックは21年9月、総額8000億円超もの巨費を投じて、サプライチェーンソフトウエアを手掛けるブルーヨンダーの買収を完了した。今後22年4月に移行する持ち株会社制で、パナソニックコネクティッドソリューションズ社(22年4月からパナソニックコネクト社に変更)が同事業の強化を担う計画だ(図2)。
意見交換会の会場には樋口氏のほか、パナソニックコネクティッドソリューションズ社上席副社長の原田秀昭氏が出席。さらにブルーヨンダーCEO(最高経営責任者)のギリッシュ・リッシ氏もオンラインで参加した(図3)。
樋口氏はサプライチェーンソフトウエアに注力する意義として、「もうハードウエア製品の大量生産で勝負しても事業が長続きしない。持続性ある収益エンジンにポートフォーリオを入れ替え、次世代に引き継いでいかなければならない」と訴えた。ブルーヨンダーが提供するサプライチェーンソフトウエアを企業が導入すると、パナソニックに継続的に利益が生まれる。
さらにサプライチェーンを支援するブルーヨンダーのサービスは、「企業が急に利用を止めない。周囲から(8000億円超の買収は)高い買い物という指摘を受けるが、高い理由は継続利用してもらえる点にある」と樋口氏は続ける。冒頭の発言のようにブルーヨンダーの強みを前面に打ち出し、あえてパナソニック製品とのシナジーを狙わない考えも示した。