マツダは2021年11月4日、新たな予防安全システム「MAZDA CO-PILOT」のコンセプトを発表した。現行の先進運転支援システム(ADAS)「i-ACTIVSENSE」に追加するもので、運転者の体調の急変による事故を防ぐのが最大の狙いである。
第1段階のシステム「MAZDA CO-PILOT 1.0」を22年から、同社の新プラットフォーム(PF)「ラージ」適用車に導入する。さらに25年以降に、機能を向上させた第2段階のシステム「同2.0」をラージPF適用車に導入し、死亡交通事故ゼロを目指す(図1)。
マツダによると、日本における死亡・重傷事故は減少傾向にあるが、多くの運転者は運転中に眠気を感じているという。また、運転者の発作・急病による交通事故件数は増加傾向にある。さらに、運転者の急な体調変化による事故の95%以上は、60km/h以下の車速で起こっているという。
同社商品戦略本部で技術企画部主査を務める栃岡孝宏氏は、「運転者の体調の急変による事故を防ぐために、今回のシステムを開発した」と言う(図2)。22年に導入する第1段階のシステムは(1)運転者の状態検知、(2)「レベル2+」の運転支援(マツダは「HMI仮想運転」と呼ぶ)、(3)運転者異常時の退避支援──の3つの技術で構成する。
具体的には、車内カメラを使って運転者の姿勢の崩れや視線・頭部の動きを監視し、CAN (Controller Area Network)の情報を使って操舵(そうだ)や加減速の操作量を検知する。その結果を基に、運転者の状態が異常であるとシステムが判断すると、まずハザードランプやブレーキランプを点滅させ、ホーンを鳴らして異常が発生したことを周囲に知らせる(図3)。