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 ルネサス エレクロニクスが2021年第3四半期(7~9月期)の決算を10月28日に発表した 決算短信:PDF 。車載製品業の売上高(売上収益)が前年同期比52.5%増、全社売上高も同44.6%増と、まさに絶好調。3月に発生した生産子会社の主力工場の火災から完全復活した姿を見せた。火災により工場は1か月間の生産停止という大打撃があった一方で、けがの功名ともいえるプラスの事象も複数あった。

火災で損傷した設備の復旧経費計上は今回(2021年第3四半期(7~9月期))で完了
火災で損傷した設備の復旧経費計上は今回(2021年第3四半期(7~9月期))で完了
第4四半期(10~12月期)以降はレジリエンス強化に向けた経費を計上予定。(出所:ルネサス エレクロニクス)
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 プラスの事象として、例えば、工場の生産再開に向けてパートナー企業だけでなく顧客(自動車メーカーなど)の「奇跡的な支援」(同社社長兼CEO(最高経営責任者)の柴田 英利氏)を受けられたことがある。顧客やパートナーとの関係が深まり、同氏によれば、建物自体の復旧は通常2~3週間かかるものが3日で済んだという。

 在庫の重要性を顧客に認識してもらえたこともプラス事象と言える。火災発生以前から、車載半導体の不足は顕在化しており、安定供給に向けて、柴田氏は、在庫管理の重要性を訴えていた。主力工場が生産停止に追い込まれたことで、ルネサスは代替生産先を探すことに奔走したが、「半導体はすぐには造れない」ことが顧客の幹部にも認識された。これで柴田氏が訴えてきた在庫管理方法の見直しが行われるようになった。

 そして、代替生産が始まったことによって、それまでは、ルネサスの主力工場でしか造っていなかった製品を台湾TSMC(台湾積体電路製造)でも造るようになった。その結果として2社生産体制となり、生産の安定性が高まった。また、車載製品の特殊なバンプ工程に関しても、当初は他社では難しいと思われていたが、TSMCが紹介した海外のある企業が引き受けたことにより、こちらも2社体制が整った。「2社体制で生産の安定性が増したことに加えて、生産コストが若干下がるという副次的な効果もあった」(ルネサス 執行役員 兼 オートモーティブソリューション事業本部長 片岡 健氏)。