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 米Analog Devices(アナログ・デバイセズ、以下ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズと、同社のアライアンスパートナーであるサクラテック(神奈川県横浜市)は、新たな振動センサーの報道機関向け発表会を2021年11月4日に開催した。新製品は両社が共同開発したミリ波レーダーベースのセンサーで ニュースリリース 、非接触で40kHzまでの振動を測定可能である。新製品を使うことで、加速度センサーの装着が困難な、高温になってしまう機械の振動監視が容易になる。

左がアナログ・デバイセズの高松 創氏、右がサクラテックの酒井文則氏
左がアナログ・デバイセズの高松 創氏、右がサクラテックの酒井文則氏
(出所:日経クロステックが撮影)
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今回の新製品
今回の新製品
左上の「組み込みRFモジュール」をケースに収めたのが新製品の非接触振動センサー「miRadar CbM」である。なお、要望があれば、組み込みRFモジュールの形での提供が可能。図の右側は、新製品に付属するソフトウエアで、PC上で稼働する。グラフィカルに新製品の設定や、測定結果の表示・解析が可能になる。(出所:アナログ・デバイセズ)
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 アナログ・デバイセズとサクラテックは、過去にもADIのICを使った複数の製品を共同開発してきた*1、*2、*3。複数の実績があったことから、ADIの新しい79GHz帯ミリ波トランシーバーMMIC「ADAR690x」の拡販を狙って、アナログ・デバイセズは今回の新製品の開発をサクラテックに持ち掛けた。アナログ・デバイセズの高松 創氏(リージョナルマーケティング プラットフォームプログラムマネージャー)によれば、振動監視には安価な加速度センサーを用いることが一般的だが、プラントや産業機械の保全には最適ではないという。

関連記事 *1 『「センシングしてみたものの…」から脱却、アナデバの展示で見たIoTの取り組み』の2ページ *2 10人の健康状態を同時推定、サクラテックが24GHz帯の小型ミリ波レーダーで *3 『橋梁崩落の危機を半導体加速度センサーで察知、アナログ・デバイセズが提案』の3ページ目
機械の劣化と発生する振動の周波数
機械の劣化と発生する振動の周波数
多くの機械では、不調の初期は高い周波数の振動が発生し、次第に振動周波数が下がっていく。(出所:アナログ・デバイセズ)
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 例えば、多くの機械において、不具合の初期には、高い周波数の振動が発生する。ところが、一般的な加速度センサーでは10kHzを超える高い周波数の振動の測定が難しいため、不具合が深刻になってからでないと見つけることができない。また、動作中に高温になる機械は少なくなく、そうした機械に加速度センサーを取り付けるのは難しい。一方、ミリ波レーダーを使った新製品は、こうした加速度センサーのウイークポイントがない。最大で40kHzと高い周波数の振動を観測できる。数メートル先にある機械でも観測できるため、その機械が高温であっても問題がないという。市場にある、非接触のレーザードップラー振動センサーよりも安価な点も、新製品のセールスポイントだとした。

加速度センサーの泣き所と新製品の優位点
加速度センサーの泣き所と新製品の優位点
(出所:アナログ・デバイセズ)
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