KDDI総合研究所(KDDI総研)と兵庫県立大学は2021年11月9日、Beyond 5Gや6G時代に求められる高速処理可能な新たな共通鍵暗号アルゴリズムを開発したと発表した。安全性を担保する256ビット暗号鍵長に対応し、CPUに「Intel Core i7」を使ったケースで138Gビット/秒という処理速度を実現した。同研究所では256ビット暗号鍵長で世界最高速としている。今後、さらなる高速化を図るほか、実用化に向けて標準化などにも取り組む予定だ。
「100Gビット/秒を超える通信が想定されるBeyond 5Gや6G時代は、より高速な暗号方式が必要になる」――。KDDI総合研究所 セキュリティ部門 部門長の清本晋作氏はこのように指摘する。
現在、広く普及するAES(Advanced Encryption Standard)のような共通鍵暗号方式は、一般的なCPUを使った場合の処理速度が数100M〜10Gビット/秒にとどまるという。100Gビット/秒を超えるようなスループットを目指す6G時代は、暗号方式の処理速度がボトルネックになる可能性があるとする。
誤り耐性を持つ量子コンピューターの実用化が見えてくる中、暗号鍵長をさらに増やす必要性も出てきている。現在普及している128ビット長の暗号鍵長では安全性を担保できないとし、256ビット長の暗号鍵長が求められるようになるという。もっとも暗号鍵長が増えることで処理速度が問題になり、暗号方式のさらなる高速化が求められる。
こうした背景からKDDI総研らは、256ビットの暗号鍵長で100Gビット/秒を超える暗号処理速度を実現する暗号方式が必要と捉え、「Rocca」と名付けた新たな暗号方式を開発した。