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サーバー向けMPUのL3キャッシュを3倍に

 AMDは、MPUの新製品についても紹介した。例えば、3D V-Cacheと呼ぶ縦積みSRAMダイを搭載したMPUの第3世代EPYCプロセッサー(開発コード名:Milan-X)である。同社は3D V-Cacheについて21年6月の「COMPUTEX TAIPEI 2021」で紹介している*2。既存のMPUに3D V-Cacheを追加することで、L3キャッシュ容量を増やせる。6月の発表では、クライアントPC向けMPUに3D V-Cacheを追加した例を見せていた。

関連記事 *2 AMDとTSMCが開発の3Dキャッシュ、21年中に高速MPUに搭載へ
開発コード名がMilan-XのMPUを掲げるLisa Su氏
開発コード名がMilan-XのMPUを掲げるLisa Su氏
Milan-Xは3D V-Cacheと呼ぶ縦積みSRAMダイを搭載した第3世代EPYCプロセッサーである。また、第3世代EPYCプロセッサーの開発コード名はMilanである。(出所:AMD Accelerated Data Center Premiereの基調講演ビデオからキャプチャー)
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 今回は、サーバー向けMPUの第3世代EPYCに3D V-Cacheを積層した。TSMCの7nmプロセスで製造する第3世代EPYC(開発コード名:Milan)の最大規模のモデルは64個のZen 3コアと256MバイトのL3キャッシュを搭載する*3。Milan-Xの詳細は明らかにされていないが、64コアを搭載し、L3キャッシュ容量はMilanの3倍で、ソケット当たり804Mバイトに達するという。また、Milan-Xの処理性能はMilanと比較して50%以上向上するとのことである。例えば、米Synopsys(シノプシス)の論理シミュレーター「VCS」を使ったRTL(Register Transfer Level)シミュレーションを、Milan-XはMilanより66%高速に処理できた。Milan-Xは22年第4四半期から提供が始まり、米Cisco SystemsやDell Technologies、HPE、Lenovo、Super Micro Computerなどの製品に搭載される。

関連記事 *3 AMD、サーバー向けMPU「第3世代EPYCプロセッサー」を発表
開発コード名がMilan-XのMPUの概要
開発コード名がMilan-XのMPUの概要
(出所:AMD)
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