スズキが、独自開発するストロングハイブリッド車(HEV)機構を欧州市場に初導入する。2022年初めに欧州向け「Vitara(ビターラ)」から採用を始め、同年後半には新型「S-CROSS(エスクロス)」に搭載する計画である(図1)。これまではトヨタ自動車からOEM(相手先ブランドによる生産)調達に頼っていた。
スズキは欧州市場において、ストロングHEVとして「Swace(スウェイス)」を展開している。同車両はトヨタの「カローラ」(ワゴン仕様)がベースである。搭載するハイブリッド機構はトヨタの「THS II」で、シリーズ・パラレル式となる。
一方、スズキが欧州市場に新たに導入するストロングHEV機構はパラレル式である。駆動と発電を同一のモーターでまかなう1モーター式で、これに自動MT(手動変速機)「AGS(Auto Gear Shift)」を組み合わせる。
現在、パラレル式のストロングHEV機構を搭載するスズキ車は、小型車「スイフト」の国内仕様のみ。小型車「ソリオ」の先代モデルにも設定していたが、20年12月の全面改良でストロングHEV仕様を廃止した。欧州を含む海外市場では未導入だった。
スズキ社長の鈴木俊宏氏は21年11月25日に開いた新型S-CROSSのオンライン発表会で、「環境対策の先頭をきる欧州向けに、22年よりストロングハイブリッドモデルのラインアップを強化する」と宣言した(図2)。
欧州市場ではこれまで48V簡易HEVを展開し、環境規制への対応で足りない分はトヨタからのOEM調達でHEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)を用意していた(図3)。今後は、トヨタとの協業に加えて、スズキが開発したストロングHEVも拡充していく。