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 半導体・電子部品商社のコアスタッフ(東京都)は、半導体不足の見通しなどについて、国内の報道機関を対象に2021年11月30日に都内の本社で説明した。同社の代表取締役社長の戸澤正紀氏によれば、同社の受注状況などから考えると、「半導体不足は数カ月でピークアウトしそう」との見方を示した。説明会には英Omdia(オムディア)の南川明氏(Consulting Sr. Director)も登壇し、半導体市場の長期的な展望を語った。例えば、半導体消費の主役は個人から国家に移行するとした。

左端がコアスタッフ代表取締役社長の戸澤正紀氏
左端がコアスタッフ代表取締役社長の戸澤正紀氏
英Omdiaの南川明氏(Consulting Sr. Director)はオンライン参加(右方スクリーン)。(出所:日経クロステックが撮影)
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 コアスタッフはエレクトロニクス商社の丸文を辞めた戸澤氏が2000年に設立した。20年度の売上高は84.5億円と大手専門商社とはいえないものの、販売形態や仕入れ先が多彩で、競合よりも広い視野で市場を捉えられるポジションにある。例えば、同社は、従来型の営業部員による販売に加えて、「CoreStaff ONLINE」経由でのネット販売を手掛ける。同社売り上げの約半分の約47億円がネット販売による。

 また、半導体や電子部品メーカーから製品を仕入れて販売するという”王道”のほかに、海外支店が現地周辺の正規販売代理店から仕入れたりする。東欧やロシアの正規販売代理店は日本からのアクセスがほぼなく、日本での需要のある製品が在庫されていることがあるという。また、ユーザー(機器メーカーなど)の余剰在庫を別のユーザーに回す委託販売も行っている。さらに、ネット販売で競合するように見える米Mouser Electronics(マウザー・エレクトロニクス)の代理店を務めていたりもする。

ユーザー(機器メーカーなど)がかかえる余剰在庫の委託販売を実施
ユーザー(機器メーカーなど)がかかえる余剰在庫の委託販売を実施
(出所:コアスタッフ)
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 戸澤氏が見せた、同社の受注額推移や新規顧客推移をみると、21年初夏にピークがあり、さらに晩秋により高いピークがある。ただし、今後は、製品によって差はあるものの受注額や新規顧客数は減少する見込みだという。「例えばメモリーで言えば、スマートフォン向けNANDフラッシュはまだ強い需要があるが、デスクトップPC向けのDRAMはピークを過ぎている」(同氏)。半導体不足は、向こう数カ月で悪化から緩和の方向へ転換しそうだとした。

受注額推移
受注額推移
(出所:コアスタッフ)
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新規顧客数推移
新規顧客数推移
(出所:コアスタッフ)
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 同氏は、製品カテゴリー別の受注額の推移も見せた。半導体だけでなく、電子部品も需要増が続いていて、不足気味である。例えば、樹脂不足が解消しないコネクターは不足が目立つ。ここ数年不足が叫ばれているMLCC(積層セラミックコンデンサー)などのコンデンサーには状況の大きな悪化はない一方で、抵抗器の不足感が高まっているとのことだった。

製品カテゴリー別受注額推移
製品カテゴリー別受注額推移
(出所:コアスタッフ)
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