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 米Qualcomm(クアルコム)は2021年12月10日(現地時間)、3GPPの5G将来仕様「リリース18」の最新状況を解説した。この週に3GPPが開催したRAN(Radio Access Network)全体会議において、リリース18で検討を進めるプロジェクト項目を承認した。3GPPは5G技術の標準化活動を10年計画で進めており、リリース18は「5G Advanced」として初の標準仕様となる。

3GPPの5G標準化活動
3GPPの5G標準化活動
(出所:3GPP)
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関連ブログ: Setting off the 5G Advanced evolution

 リリース18では、モバイルブロードバンドの強化と新しいユースケースの実現、短期的・長期的な5G構想実現、デバイス開発とネットワーク全体の進化にバランスよく対応することを目的としている。

リリース18ではバランスのとれた5G Advanced evolutionを目指す
リリース18ではバランスのとれた5G Advanced evolutionを目指す
(出所:3GPP)
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 今回3GPPで承認されたプロジェクトは以下の通り。

5Gシステム基盤全体の強化

  • 上りリンク/下りリンク対応MIMO:スループット、カバレッジ、消費電力、信頼性を改善し、各種用途に活用できるアンテナを搭載する5G massive MIMOを開発する。
  • モビリティー強化:サブ7(7GHz未満の周波数帯)やミリ波において、低遅延でのハンドオーバーやシームレスなキャリアアグリゲーション(CA)、デュアルコネクティビティーなどの強化を行う。
  • IABとスマートリピーターによる通信改善:自動車や列車のIAB(Integrated Access and Backhaul、RANと無線バックホールの統合)機能を拡張し、車両内外の顧客に向けたサブ7とミリ波の5Gカバレッジを拡張する。また、通信認識機能やビームフォーミング機能を備えたリピーター装置を使って、広帯域でのコスト効率のよい通信を実現する。
  • 高度な二重化:TDDでのネットワーク効率改善や遅延時間短縮、カバレッジ拡張に向けた重複のないサブバンド全二重の導入シナリオや用途の特定を行う。
  • AI(人工知能)やML(機械学習)を使ったデータ駆動設計:無線MLフレームワークを拡張し、ネットワークの省電力化、負荷分散、モビリティーの最適化を図る。また、CSI(Channel State Information、伝搬路状態情報)フィードバックやビーム管理、ポジショニング機能改善に向けたAI/ML技術の活用方法も調査する。
  • グリーンネットワーク:サブ7を使った都市部や農村部、ビーム機能を伴うミリ波帯を使った通信、デュアルコネクティビティーなど、さまざまな通信状況下での基地局エネルギー消費量モデルやその評価方法、電力消費量削減技術の定義を行う。

さまざまなデバイスやユースケースへの5G適用

  • XRへの適用:リリース17に続き、5G NRによるXR(Extended Reality)アプリケーション実現に必要なサービス品質要件などを定義する。XR体験の改善に向けたアプリケーション認識や容量拡張などに向けたサポートも行う。
  • NR-Light(RedCap)強化:リリース17で定義するNR-Lightやその他の5G NR対応デバイスとの共存を維持しながら、機能限定型デバイス用のNR-Lightプラットフォームを拡張し、帯域幅5MHzまでの対応や低電力モードの強化を行う。

  • sidelink機能強化:C-V2Xやリリース17で定義されるV2X仕様に基づき、免許不要周波数帯やミリ波などへの機能拡張や、これまで対応困難だったシナリオへ5Gカバレッジを拡張する。
  • ポジショニング機能強化:位置決めや距離計測機能の精度をさらに強化する。これには、帯域幅アグリゲーションや搬送波位相測定といった技術の評価、NR-Lightでのポジショニング機能提供に向けた性能要件定義なども含まれる。
  • ドローンと衛星の強化:5G NRを使ったドローン通信の定義、LTEリリース14におけるドローン調査の活用、測定レポート機能や信号伝達設計の定義、スマートフォンでの衛星を介した5G音声通話実現によるカバレッジ、モビリティー改善などを行う。
  • マルチキャスト強化:非アクティブ/アイドルモードでのマルチキャスト受信機能やRAN共有状態でのマルチキャスト受信システム効率改善など、5Gにおけるモード混在状況でのマルチキャスト機能を強化する。