「今後、米Apple(アップル)だけでなく、さまざまなIT企業を中心とした新プレーヤーが自動車市場に参入してくる。彼らの挑戦を真剣に受け止め、反撃しないとビジネスがなくなる。生き残れない伝統的な自動車メーカーが必ず出てくる」
はっきりとした危機感を訴えたのは、フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)社長でアウディジャパンのブランドディレクターを兼任するMatthias Schepers(マティアス・シェーパース)氏だ。アウディジャパンは2022年1月17日に年頭会見を開き、電気自動車(EV)の推進計画や新型EV「Q4 e-tron」を発表した。
25年には年間1万台以上のEVを販売へ
ドイツAudi(アウディ)は、26年以降に発売する新型車は全てEVにする方針を示している。エンジンを搭載する新型車の最終モデルを25年に生産開始する予定で、33年にはエンジン車の世界販売を中国を除いてやめる。
日本市場もその方針に沿ってEVシフトを進めるが、21年に日本で販売したEVは332台と少ない。販売台数全体の1.5%にとどまるものの、シェーパース氏は「我々は様子見しない」と強気だ。「このビジネスモデル(EVシフト)を信じるか信じないかが、5年、10年後に影響する」との考えを示した。
アウディジャパンは、25年には年間1万台以上のEVを日本で販売し、販売車両に占めるEVの割合を35%まで高める計画だ。
「ナンバーワンのプレミアムEVブランドになる」(同氏)という目標を達成するために定めた具体的な方策は、EVラインアップの拡充と充電インフラの整備の2つ。順に見ていこう。