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 KDDI総合研究所(KDDI総研)は2022年1月31日、5G(第5世代移動通信システム)の次の通信規格である「6G」時代の基地局について、消費電力を抑えられる新たな技術の実証に成功したと発表した。6G時代は、これまでの大きなエリアで端末を管理するセルラー方式の基地局構成を一変し、多数の基地局を分散配置するアーキテクチャー(セルフリー)を取り入れる可能性がある。この際、分散配置した多数の基地局を連携する必要があるために、消費電力が増えてしまうという点が課題になっていた。KDDI総研は、連携する基地局をクラスター化して絞るという新たな技術を考案。計算量を5分の1まで抑えられることを確かめたという。

分散ネットワーク(セルフリー)において計算量が増大するという課題を解消する「AP Cluster化技術」
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分散ネットワーク(セルフリー)において計算量が増大するという課題を解消する「AP Cluster化技術」
(出所:KDDI総合研究所)

 6G時代の移動通信システムでは、通信の信頼性をさらに高めていく方向性が議論されている。その際に複数の基地局を連携・協調して端末と通信を確立し、信頼性を高める分散ネットワークのアーキテクチャーを取り入れることが議論されている。これまでのセルラー方式の基地局構成は、エリアを効率的に広げるのに適する半面、セルエッジでは近隣の基地局からの干渉によって品質が劣化するという課題があった。

 そんな課題を解消できると期待される分散ネットワークだが、現時点で越えなければならない壁がある。「複数の基地局を連携するために、計算量の増大によって消費電力が増えてしまう」(KDDI総研 次世代インフラ2部門電波応用グループ グループリーダーの新保宏之氏)という点だ。

 KDDI総研は今回、分散ネットワークにおける計算量増大という壁を乗り越えられる「AP(Access Point)Cluster化技術」という新たな仕組みを考案。実際に小規模な環境で実証した。

 具体的には分散ネットワークにおいて、端末近傍のすべての基地局を連携するのではなく、基地局の数を絞ってクラスター化した基地局とのみ連携する仕組みだ。端末の移動に応じてクラスターを切り替える。計算対象から省かれる基地局が出てくるので、計算量を抑えられる。

合計4個の基地局を設置したケースでAP Cluster化技術を実証した
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合計4個の基地局を設置したケースでAP Cluster化技術を実証した
(出所:KDDI総合研究所)

 KDDI総研は合計4個の基地局と2台の端末がある屋内環境において、通常の分散ネットワークとAP Cluster化技術適用時の通信品質を比較した。通常の分散ネットワークの場合、4個の基地局が連携・協調する。一方のAP Cluster化技術を適用した場合、基地局#1、#2、#3というクラスターと、基地局#2、#3、#4という2つのクラスターを定義。1台の端末を固定、もう1台の端末を移動するケースで通信品質を比較した。