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 「半導体業界史上、最大の上場を目指したい。米NVIDIA(エヌビディア)への売却も成立してほしかったが、振り返ってみたらプランBのほうがよかったと思うかもしれない」――。ソフトバンクグループ(SBG)代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏は2022年2月8日、同日発表した英半導体設計子会社Arm(アーム)のエヌビディアへの売却断念と、再上場方針についてこのように述べた。

ソフトバンクグループ代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏は、アームの再上場について「半導体業界史上、最大の上場を目指す」とした
ソフトバンクグループ代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏は、アームの再上場について「半導体業界史上、最大の上場を目指す」とした
(出所:ソフトバンクグループの会見の様子をキャプチャー)
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 SBGは20年9月、アームをエヌビディアに売却することを発表。その後、各国の独禁当局によってアームとエヌビディア合併承認について審査が進められてきた。当初は審査の行方を楽観視していた孫氏だが、「これほど各国政府やGAFA(米Google、米Amazon.com、米Facebook、米Apple)をはじめとする業界の中心となる会社が反対することは想定していなかった」(同)と率直に打ち明ける。こうした懸念を解消するためにエヌビディアが解決策を打ち出したものの、「各国政府から相手にしてもらえない状況が2〜3カ月続いた。エヌビディア側からも合併成立は難しいという話があり、最終的に断念した」と孫氏は話す。

 とはいえ、転んでもただでは起きないのが孫氏だ。アーム売却断念を受けて同日開催したSBGの決算会見で孫氏は、その多くの時間を「プランB」として用意していたアームの再上場方針の説明に充てた。23年中に米国で「半導体業界史上最大の上場」を目指すという。

 「アームはスマートフォンの革命をけん引してきたが、これからEV(電気自動車)やクラウド、メタバースなど、さまざまな分野にアームのチップが使われるようになる。アームに第2の黄金期が訪れる」と孫氏は力説した。

 SBGは16年に日本円で約3.3兆円を投じてアームを買収し、完全子会社化した。その時点で孫氏は「買収してから5年後にはアームを再上場したいと考えていた」と語る。新しいチップの設計から製品が市場に出るまで約5年の年月がかかるという事情があったという。「アーム買収後、そのチップの演算処理能力をスマホだけではなく、あらゆる製品に使えると考え開発を進めてきた。こうした製品群が22年から続々と登場する。わくわくしている」と孫氏は続けた。