米Intel(インテル)が、ファウンドリー(製造受託)事業「Intel Foundry Services:IFS」の強化策を矢継ぎ早に打ち出した。IFSは、2021年3月に同社が発表した製造戦略「IDM 2.0」の目玉である。今回明らかになった強化策は3つ。(1)ファウンドリー企業のイスラエルTower Semiconductor(タワーセミコンダクター)の買収、(2)ユーザーの開発・設計を支援する、いわゆるエコシステムの本格立ち上げ、(3)エコシステム強化向けの10億米ドル(約1150億円)のファンドの設立である。
1つ目の強化策として買収するTower Semiconductorはアナログ半導体のファウンドリーで、高周波やパワー、シリコンゲルマニウム(SiGe)、産業用センサーなどに強みを持つ。自動車やモバイルなどの分野に顧客がいる。同社はイスラエルに6インチ(150mm)ウエハーの工場(1μ~0.35μm)と8インチ(200mm)ウエハーの工場(0.18μ~0.13μm)、米国に2つの8インチウエハーの工場(0.18μ~0.13μm)を持つ。また、イタリアで12インチ(300mm)ウエハーの工場(65nm)を伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクロニクス)と共有している。
さらに、ヌヴォトン テクノロジージャパン(京都府長岡京市)との合弁企業「タワー パートナーズ セミコンダクター(TPSCo)」(富山県魚津市)が日本に8インチウエハーの工場を2つ(0.35μ~0.11μm)と12インチウエハーの工場(65nmと45nm)を1つ持っている。TPSCoの株式は51%をTowerが、49%をヌヴォトン テクノロジージャパンが所有する。IntelによるTowerの買収によって、TPSCoの3つの工場がどうなるかは発表されていないが、Intelが日本に工場を持つ(あるいは共有する)可能性は高い。
IntelはTowerの株式を53米ドル(約6100円)/株で買い取る ニュースリリース 。現金で支払い、買収総額は54億米ドル(約6200億円)になる。買収は12カ月で完了する見込みで、それまではTowerは現状通りに独立企業として運営される。買収完了後はIFSとTowerは統合されたファウンドリー事業になるという。
EDA、IP、設計サービスでアライアンス
2つ目の強化策としてIntelは、ファウンドリーユーザーのIC設計を支援するエコシステムのアライアンスとして「IFS Accelerator」を正式に立ち上げた ニュースリリース 。IFS Acceleratorは、EDA(Electronic Design Automation)アライアンス、IP(Intellectual Property)アライアンス、設計サービスアライアンスの3つからなる。
EDAアライアンスには、米ANSYS(アンシス)、米Cadence Design Systems(ケイデンス・デザイン・システムズ)、米Siemens EDA〔米Siemens Digital Industries Software(シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア)のEDA部門〕、米Synopsys(シノプシス)が名を連ねる。
IPアライアンスに参画しているのは、英/カナダAlphawave IP(アルファウエーブ IP)、米Analog Bits(アナログビッツ)、台湾Andes Technology(アンデステクノロジー)、英Arm(アーム)、Cadence、台湾eMemory Technology(イーメモリーテクノロジー)、台湾M31 Technology(M31テクノロジー)、米SiFive(サイファイブ)、米Silicon Creations(シリコンクリエーションズ)、Synopsys、米Vidatronic(ビダトロニック)である。
設計サービスアライアンスには、仏Capgemini(キャップジェミニ)、インドTech Mahindra(テックマヒンドラ)、インドWipro(ウィプロ)が参画している。