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 ルネサス エレクトロニクスは、同社の車載SoC(System on a Chip)やマイコン(以下デバイス)で稼働するアプリケーションソフトウエアの先行開発に向けて、統合型のバーチャル(仮想)開発環境「バーチャルターンキープラットフォーム」(以下、今回の開発環境)の提供を開始した ニュースリリース 。今回の開発環境を使うことで、デバイスや評価ボードがそろう前から、アプリケーションソフトウエアを先行開発できるため、従来よりも早い時期に、車載機器を市場投入できるようになるという(図1)。さらに今回、複数のCPUコアを集積したデバイスのデバッグに向けたツールも発表した。

図1 バーチャルターンキープラットフォームの効果
図1 バーチャルターンキープラットフォームの効果
従来(左)はハードウエア(チップや評価ボードなど)が用意されないとアプリケーションソフトウエアの開発が難しかった。バーチャルターンキープラットフォームを使うことで、ハードウエアの用意を待たずにアプリケーションソフトウエアの開発が可能になる(右)。いわゆる、開発工程のシフトレフトを実現する。(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 同社は、今回の開発環境を、2022年4月12日から車載ゲートウエイ用SoC「R-Car S4」*1向けに提供し始めた。今後、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転システム向けSoC「R-Car V4H」*2やこれから新たに開発するR-Car製品、車載マイコンRH850にも、今回の開発環境が対応できるように整備を順次進めていく。

関連記事 *1 ルネサスが車載ゲートウエイ向けSoC、マイコンコアも内蔵 *2 ルネサス、レベル2+を普及価格帯に 新型SoC発売

 今回の開発環境は、仮想開発環境「R-Car Virtual Platform(R-Car VPF)」上に、ソフトウエアライブラリーやサンプルコードなどの動作検証済みソフトウエア開発キット「R-Car SDK」 関連ニュースリリース を搭載したものである。R-Car VPF上にR-Car SDKが統合されたことで、ユーザーはすぐにアプリケーションソフトウエアの開発にとりかかれる。「バーチャルターンキープラットフォームは、実チップを高精度で再現しているため、ユーザーは実ボードを使用して開発環境を立ち上げる必要がなく、複数のユーザーが各自のパソコン上やサーバー上で、同時進行でソフトウエアを開発することができる(図2)」(ルネサス)。

図2 バーチャルターンキープラットフォームを使えば、PCだけですむ(右)
図2 バーチャルターンキープラットフォームを使えば、PCだけですむ(右)
従来はさまざまなハードウエアを用意する必要があった(左)。(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 今回の開発環境の基盤部分であるR-Car VPFは、米Synopsys(シノプシス)の組み込みソフトウエア開発環境「Virtualizer Development Kits(VDK)」*3をR-Car用にカスタマイズしたものである。例えば、R-Car固有のIP(Intellectual Property)コアの仮想モデルを追加した。ルネサスはVDKベースのRH850開発環境をSynopsysと共同で整備したり*4、オーストラリアASTC(Australian Semiconductor Technology Company)とR-Car V3M向けの仮想開発環境を共同整備したりしており*5、今回の開発環境が対応できるデバイスの幅を広げる際に役立ちそうだ。

関連記事 *3 Synopsysが仮想プロトタイピング用ESLツール「Virtualizer」を更改、モデリング効率が3倍に *4 ルネサスとSynopsys、車載マイコンのソフトウェア開発とシステム・テストの短期化で協業 *5 ルネサスと豪社、ADASアプリ開発向けの仮想環境を構築