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 日本電産会長の永守重信氏が2022年4月21日、同社のCEO(最高経営責任者)に復帰した(図1)。同社社長で前CEOの関潤氏は、COO(最高執行責任者)に就く。関氏は、電気自動車(EV)の駆動用モーターなどを手掛ける車載事業の責任者として、同事業の黒字化に専念する。

図1 日本電産のCEOに復帰した同社会長の永守重信氏
図1 日本電産のCEOに復帰した同社会長の永守重信氏
オンライン決算説明会の様子をキャプチャー。
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 「早い決断、早い実行ができる日本電産に戻す」。永守氏は同日の決算説明会でこう力を込めた。現在の不安定な世界情勢や原材料価格の高騰を踏まえ、永守氏が3年間をメドに短期的に経営の指揮を執ることで、業績の改善を図る。

 CEOから退いた関氏が任されたのは、永守氏が「最も大きな成長を期待する」というEVの駆動用モーターを中心とした車載事業の業績改善だ。関氏は「最重要とされる駆動用モーター事業の黒字化を早めるという仕事をもらった。闘志を燃やしている」と意気込み、同事業の早期黒字化に向けた施策を大きく2つ挙げた(図2)。

図2 日本電産のCOOに就いた同社社長の関潤氏
図2 日本電産のCOOに就いた同社社長の関潤氏
同氏は日産自動車の出身で、20年1月に日本電産に入社した。永守氏から引き継ぎ、21年6月からCEOを務めていた。オンライン決算説明会の様子をキャプチャー。
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 1つは、同社が手掛ける「E-Axle(イーアクスル)」の第2世代品の量産時期を早めることだ(図3)。イーアクスルは、駆動用モーターとインバーター、減速機を一体化した電動駆動モジュールである。同社の第2世代品は「(価格が高騰している)希土類(レアアース)を第1世代品から大幅に減らして原価を抑え、収益が出るモデルに仕上がっている」(関氏)という。これを23年4月に投入することで、同年度にイーアクスル事業として初めて黒字化を達成する計画だったが、22年度下期に投入を前倒しする。

図3 日本電産のイーアクスル事業の計画
図3 日本電産のイーアクスル事業の計画
(出所:日本電産)
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 もう1つは、材料市況を駆動用モーターの価格に転嫁することだ。足元では、同モーターに使われるレアアースや電磁鋼板、銅(Cu)などが値上がりしている。関氏は、日本電産がイーアクスルの大きなシェアを持つ中国では「自動車メーカーがEVの販売台数を競い合っており、部品の値上げを許してでも量の確保に走っている」と指摘する(図4)。同社はこうした中国市場の状況を踏まえ、駆動用モーターを値上げし、収益性の改善を図る。

図4 21年の中国市場におけるイーアクスルの外製メーカーによるシェア
図4 21年の中国市場におけるイーアクスルの外製メーカーによるシェア
日本電産が27%のシェアを持つ。同社が各種資料から推定。(出所:日本電産)
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