最新のプラネタリウム「コニカミノルタプラネタリアYOKOHAMA」が2022年3月に開館した。横浜市のみなとみらい地区に立地する横濱ゲートタワーの2階にある。そのオープニングセレモニーに参加した筆者は、「最新のプラネタリウムはこれほどの高画質なのか」と目を見張った。それはずばり、ディスプレーデバイスにLEDを使ったことによるメリットだ。俄然(がせん)、興味を持った筆者は、LEDドームプラネタリウムの最新画質事情を調べることにした。
コニカミノルタプラネタリウムは国産プラネタリウムの老舗メーカーだ。前身の千代田光学精工が1958年に初の国産プラネタリウムを完成させている。現在、国内に約350あるプラネタリウムの半分は同社製という。約20年前から自社運営を開始し、直営館は今回で5館目、LEDドームプラネタリウムは日本初の名古屋に引き続きに2館目、首都圏では初となる。
プラネタリウムの投射デバイスの歴史をひも解くと、当初はドイツのカールツァイスが発明した光学投影式だった。その後、1990年代にデジタル式が導入され、プロジェクター投射が加わり、そして今、LEDが圧倒的な高画質により、プラネタリウムシーンを根底から変革しているのである。
こうしたデバイスの変遷は、新たなコンテンツ、アプリケーションを生み出していく歴史でもある。当初の光学投影式は、天球ドームに星座や天体の運動の光点を光学的に投射し、宇宙を学ぶという主に教育目的で始まった。90年代後半にCG(コンピューターグラフィックス)が登場し、宇宙に関連するデータをグラフィックスとして可視化し、よりディープに科学的に、そしてエンターテインメントとして天体を楽しむ方向が打ち出された。いわゆる「デジタルプラネタリウム」である。
そうなると、光学式投射機では実力不足となって、プロジェクターに出番が回ってきた。三管式では輝度の観点からまだ無理だったが、その後の透過型液晶、DLP(Digital Light Processing)、反射型液晶のデバイスなどのプロジェクターが登場し、活躍の場を広げた。すると単なる星座の勉強場から、全天周ドームシアターとしてスペースエンターテインメントを楽しむ場に進化した。特に複数のプロジェクターによる、全周でシームレスなプロジェクションマッピング技術が開発されたことが、コンテンツのエンターテインメント化を促進した。
ところがプロジェクターには大きな問題があった。輝度とコントラストが矛盾する関係にあるからだ。輝度を上げ、明るい映像を投射すると、対向面のスクリーンが反射し、黒が浮く。この反射光は明るくするほど強くなってしまう。また光学投影式の光点とプロジェクター映像をスクリーン上で重ねているため、光学式投影機で投影される星が見えづらくならないように、実際にはプロジェクター映像の輝度を抑える必要がある。結果として暗いドーム映像になってしまう。
そこで登場したのが直視のLEDだ。コニカミノルタでは「DYNAVISION-LED」とネーミングし、LEDを複数搭載したパネルを約5500枚、ドームに敷き詰めた。そのメリットを、同社社長兼CEO(最高経営責任者)の古瀬弘康氏に聞いた。