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 NTTとスカパーJSATは2022年4月26日、宇宙事業を推進する新会社を設立すると発表した。両社は21年、共同で低軌道衛星(LEO:Low earth Orbit Satellite)や静止軌道衛星(GEO:Geostationary Orbit Satellite)、高高度の無人飛行機(HAPS:High Altitude Platform Station)などを組み合わせた「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の構築を目指して業務提携した。新会社設立で宇宙事業を加速し、24年度からサービスを開始する計画だ。

新会社設立を発表するNTT社長の澤田純氏(左端)やスカパーJSAT社長の米倉英一氏(右端)など
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新会社設立を発表するNTT社長の澤田純氏(左端)やスカパーJSAT社長の米倉英一氏(右端)など
(撮影:日経クロステック)

 「今回設立するジョイントベンチャーはわれわれの宇宙衛星事業の中核会社であり、事業を実現していく第一歩になる」。同日会見に登壇したNTT代表取締役社長兼社長執行役員の澤田純氏はこう述べた。

 新会社名は「Space Compass」。NTTとスカパーJSATが折半出資し、22年7月に設立する。資本金は180億円からスタートし、「将来的には1000億円規模の事業を目指す」(スカパーJSAT代表取締役執行役員社長の米倉英一氏)。新会社の共同CEO(最高経営責任者)にはNTT研究企画部門R&Dビジョン担当担当部長の堀茂弘氏と、スカパーJSAT執行役員経営管理部門部門長補佐兼経営企画部長の松藤浩一郎氏が就く。

 新会社設立発表に合わせてNTTとスカパーJSATは、宇宙事業のサービスに向けた具体的な計画を明らかにした。

24年度から開始する「宇宙光データリレーサービス」
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24年度から開始する「宇宙光データリレーサービス」
低軌道観測衛星からのデータ取得を準リアルタイム化できる点を強みとする(撮影:日経クロステック)

 まず24年度に低軌道観測衛星が宇宙経由でデータを収集し、静止軌道衛星経由で地上へ高速伝送する「宇宙光データリレーサービス」を開始する。低軌道衛星と静止軌道衛星を組み合わせることで、「観測衛星からのデータや画像の取得が10〜20分以内になる」(米倉氏)。

 これまで低軌道衛星を使った観測衛星システムの場合、衛星からの観測データを取得するには90〜100分のタイムラグがあった。低軌道衛星は地球を90〜100分かけて周回する。そのために地上局上空に低軌道衛星が来るタイミングでのみデータを取得するからだ。NTTとスカパーJSATは、低軌道衛星と静止軌道衛星を組み合わせることで、観測衛星からのデータ取得の短縮化という新たな付加価値を打ち出す。両社は観測衛星事業者などを想定顧客として事業を展開する計画だ。

 両社は宇宙光データリレーサービスに向けて、まずは静止軌道衛星1基、低軌道衛星1基を打ち上げる。年内に新たな衛星の発注契約も結ぶ。「これにとどまらず、継続的に静止軌道衛星や低軌道衛星を追加していきたい」(澤田氏)とした。