日産自動車とフランスRenault(ルノー)が、先進運転支援システム(ADAS)の共通化を加速させている。ルノーが2022年5月下旬に日本で発売する新型SUV(多目的スポーツ車)「アルカナ」に、日産のADAS「プロパイロット」で使うセンサーを流用したことが分かった(図1)。
アルカナだけでなく、「ルーテシア」や「キャプチャー」といったルノーの小型車も日産のADAS向けセンサーを搭載する。これらの車種の共通点は、ルノーと日産、三菱自動車による3社連合(アライアンス)の小型車向けプラットフォーム「CMF-B」を採用する点だ。
日産車では新型「ノート」のほか、欧州で展開する2代目「ジューク」や現行型「マイクラ」などがCMF-Bを適用している(図2)。
ルノーが流用するセンサーは、車両前方の状況を監視する単眼カメラとミリ波レーダーである。アルカナの場合、単眼カメラはフロントウインドー上部の室内側に、ナンバープレート下にミリ波レーダーを搭載する。
ADAS向けセンサーを流用する目的は、開発費用や部品の調達コストを低減することである。特にルノーのように量販価格帯の車両を中心に展開する自動車メーカーにとって、「進化のスピードが加速しているADASを独自開発するのは負担が大きい。費用が膨らんで車両価格に転嫁するより、割り切ってプラットフォームを共用する日産から調達したほうがよい」(ルノーの関係者)と判断した。