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 ルネサス エレクトロニクスは、2022年第1四半期(1~3月)の決算を22年4月27日に発表した 決算短信 プレゼンテーション資料 。売上高(売上収益)は前年同期比70.2%増と大きく伸びた。好調な業績を背景に、同社の柴田英利氏(代表取締役社長 兼 CEO)は同日に実施した決算のオンライン会見で(図1)、同社初の自社株式取得を実施することを明らかにした。取得価額総額の上限は2000億円と、「少しまとまった規模」(同氏)である(図2)。

図1 オンライン決算説明会の登壇者
図1 オンライン決算説明会の登壇者
右上から反時計回りに、柴田英利氏(代表取締役社長 兼 CEO)、片岡 健氏(執行役員 兼 オートモーティブソリューション事業本部長)、新開崇平氏(執行役員 兼 CFO)である。(出所:オンライン決算説明会でキャプチャー)
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図2 初めての自己株式取得を実施へ
図2 初めての自己株式取得を実施へ
公開買い付け方式で行う。なお2022年の株主還元策は今回のみの見込み。(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 こうした好調な業績の中で、柴田氏がオンライン会見で漏らした課題が、実需要が見込めない製品の受発注(過剰受発注)が一定程度含まれる可能性が高いことだ。このため、今回の会見では、受注残高の公表を見送った。過剰受発注は車載半導体で問題となっているようだ。

 同社の売上高の約半分は車載半導体によるもので、20年はその需要変動に悩まされた。同年上期に車載半導体の需要が落ち込んだが、下期には急回復して半導体不足の状況に陥り、現在でも自動車生産に影響が出ている*1。半導体不足の原因の1つといわれているのが、過剰受発注である*2。需給変動を吸収するにはサプライチェーンで一定の在庫を抱える必要があるものの、過剰受発注によって在庫が必要以上に膨らめば、その反動によって需給のバランスが崩れる。

関連記事 *1 車載半導体V字回復で、20年の半導体世界売上高が大きく上振れ *2 車載半導体不足は買いだめが原因か、ルネサス幹部の発言を読む

 柴田氏は、半導体メーカーだけでなく、販売チャネル、需要サイド〔自動車部品メーカー(Tier 1)や自動車メーカー(OEM)など〕で適正在庫を持つように呼び掛けてきた*3。しかし、適正在庫への道は半ばにあり、過剰受発注は続いているようだ。過剰受発注があると、受注残高が膨らみ、将来の売上高との乖離(かいり)が大きくなってしまう。それを懸念して、「今回は受注残高の公表を見送った」(柴田氏)。現在、22年の残りおよび23年に納品予定の受発注を、販売チャネルや需要サイドと精査している。「精査は数カ月以内には完了の予定で、次の決算発表時には、これまでのような形で受注残高を示せるかもしれない」(同氏)。

関連記事 *3 車載半導体で翻弄されたルネサスの決算、ICの製品値上げはやむなし