「上海ロックダウン(都市封鎖)の影響は決して小さくない。2022年5、6月ごろから、日本国内でも一部に影響が出てくるはずだ」――。パナソニックホールディングス(パナソニックHD) 取締役 副社長執行役員 グループCFO(最高財務責任者)の梅田博和氏は、22年5月11日に開催した決算説明会でこう危機感をあらわにした(図1)。
同社の21年度(21年4月1日~22年3月31日)連結決算は、売上高が前年度比6900億円増となる7兆3888億円、営業利益が前年度比989億円増となる3575億円で増収増益だった。電気自動車(EV)需要の高まりから、車載電池の好調な売れ行きなどがけん引したことが大きい。一方で、営業利益で“約1600億円減”という大打撃をもたらしたのが、原材料や物流費の高騰だ(図2)。
家電と電池を中心に影響
サプライチェーンをめぐる問題は銅などの原材料高騰に加えて、半導体不足や部材不足など拡大が止まらない。22年度は、新型コロナウイルス感染拡大による中国・上海ロックダウンの影響も懸念される。「上海での影響度合いはまだ見積もれないが、中国国内でのビジネスではすでに減販の影響がある」(梅田氏)という。
高騰する原材料は、鉄や銅といった工業用金属やリチウム・ニッケル・コバルトといったEV用電池向け金属、半導体製造向けのシリコンウエハーなどだ。価格改定や合理化で影響の軽減を目指すものの、「家電が中心のくらし事業と、電池が中心のエナジー分野では22年度も影響が残る」(梅田氏)とする(図3)。