オランダNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)は、産業用IoT(Internet of Things)通信に向けたマイコン「i.MX RT1180」を2022年5月3日(現地時間)に発表した ニュースリリース 。Gビット/秒級のTSN(Time Sensitive Networking)スイッチを集積した、同社初のマイコンである(図1)。I/O管理やモーター制御、小型モーション制御、ゲートウエイといったアプリケーションでの利用を想定している。
NXPジャパンによれば、「Industry 4.0への移行が叫ばれて久しいが、工場の既存装置をIndustry 4.0対応にするのは容易ではない」という。「既存装置はレガシーな通信方式でネットワーク化されており、Industry 4.0対応の通信ネットワークに組み入れるために既存の装置を改良するのに二の足を踏むケースが多い」(同社)。
今回の新製品は、既存の産業用通信ネットワークとIndustry 4.0向けの最新ネットワークをつなぐ用途に最適だという(図2)。4ポートのTSNスイッチを含めて全部で5つのGビット/秒級のTSNポートを備えており、さらに既存の産業用リアルタイム通信プロトコル(PROFINET、Ethernet/IP、EtherCAT、CC-Link IE Fieldなど)と最新のTSNプロトコル(OPC UA PubSub、PROFINET over TSN 、CC-Link IE TSNなど)の両方をサポートしているためとする(図3)。
このほか、新製品の特徴として、同社独自のセキュリティー回路「EdgeLockセキュア・エンクレーブ」を集積していることを挙げられる。このセキュリティー回路は、ハイエンドのアプリケーションプロセッサー「i.MX 9シリーズ」*1から採用が始まったもので、マイコンに集積されるのは今回が初めてである。EdgeLockセキュア・エンクレーブの集積により、IEC 62443システム準拠のコンポーネントレベル基盤を提供できるという。
*1 関連記事 NXPが新アプリプロセッサー、セキュリティーや推論を低電力で