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 自由民主党青年局は2022年5月27日、同局の全国会議・研修会でのNFT(非代替性トークン)活用やメタバース(仮想空間)上での街頭演説会といった取り組みについてメディアブリーフィング「青年局Web3.0宣言」を開催した。冒頭で青年局長の小倉將信氏は、内閣総理大臣・総裁の岸田文雄氏に先日説明したという資料「Web3を成長戦略のど真ん中に」を紹介しながら、「政党としてWeb3のさまざまなツールを使った政党活動を始めていく。単なる興味本位でやるつもりはない。NFTとメタバースの2つによって、これからの政党活動が大きく広がる可能性がある」と強調した。協力企業としてNFTではIndieSquare(東京・渋谷)、メタバースではクラスター(東京・品川)がそれぞれ参画する。

自由民主党青年局長の小倉將信氏
自由民主党青年局長の小倉將信氏
手にしているのが岸田総理に説明したときの資料「Web3を成長戦略のど真ん中に」。(写真:日経クロステック)
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 今回の取り組みに至った背景として、小倉氏は「メタバースにしてもNFTにしても多くの国民の皆さまにとってなじみの薄い存在かもしれない。そういう意味では、最も保守的かもしれない政党活動の中で、『習うより慣れろ』とWeb3を実践することによって、Web3とは何かをご理解いただけるのではないか」と思いを語った。

「岸田トークン」を初配布

 NFTの取り組みとしては、自民党の各都道府県支部連合会青年組織を対象とした年1回開催の「全国青年部長・青年局長合同会議・研修会」「学生部全国研修会」において、岸田氏ほか出席者のNFTが目的に合わせて配布されるとした。

 例えば「岸田トークン」は、学生部全国研修会の政策プレゼンコンテストで最優秀賞を獲得したチームにのみ配布用QRコードが知らされる。このコードをスマートフォンなどで読み取るとPOAP(Proof of Attendance Protocol)がウォレット(電子財布)に入る。改ざんや譲渡・売却のできない唯一無二のデジタル資産となる。また、研修会で講師を務める内閣府特命担当大臣の野田聖子氏やデジタル大臣の牧島かれん氏らのNFT「野田トークン」「牧島トークン」なども配布される。各氏の講演後、会場のスクリーンに配布用QRコードが表示されるので、最後まで聴講した人だけが各氏のトークンをウォレットに入れられる。出席の確かな証明となり、自分だけの記念バッジにもなる。

 これらのトークン配布にはIndieSquareのNFT発行プラットフォーム「HAZAMA BASE」を使う。「今回のNFT活用では、ブロックチェーンの持つ耐改ざん性や、一度もらったものを他人に渡せない、再販できないといった特長がさまざまな政党活動に生かされようとしている。このスピード感はわれわれスタートアップから見てもすばらしい」(IndieSquare代表取締役の星野裕太氏)。

 今後のNFT活用として青年局では青年党員や学生部員にトークンをどんどんためてもらったり、使ったりしてもらうような取り組みを進める予定だ。「トークンがたまればたまるほど青年部活動、学生部活動に熱心に参加した証になる」(青年局長の小倉氏)ほか、学生部員証や投票権の代わりに使えるようにすることも検討している。「まずはウォレットを持ってトークンを受け取り使うことに慣れてもらう。トークンが当たり前の存在になれば、限定イベントなどいろいろなエンゲージメントの形を模索していける」(青年局政策広報副部長の塩崎彰久氏)。

配布するNFT
配布するNFT
ゴールドの岸田トークンと小倉トークンは政策プレゼンコンテストの表彰者のみに限定配布される。(写真:日経クロステック)
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弁士のアバターとグータッチ

 一方のメタバースの取り組みとしては、毎年実施している拉致問題に関する青年局全国一斉街頭行動の一環として、今回はリアルの演説会に加えて、「メタバース演説会」を6月5日に開催する。「これまで街頭演説を見ていただくためには、どうしてもその場にいる必要があった。メタバース演説会なら全国どこからでもスマホを使って駆けつけることができる。弁士のアバターが参加の皆さんの前を通り、グータッチ、ハイタッチしてもらえるようなことも予定している」(小倉氏)。

 このメタバース演説会はクラスターのメタバースプラットフォーム「Cluster」の上に専用の仮想空間として構築されている。誰でもスマホやパソコンからメタバース演説会に入ることができる「世界一敷居の低いメタバース」(クラスター取締役COOの成田暁彦氏)を目指したという。

メタバース演説会の入場口
メタバース演説会の入場口
今回の同時接続数は500に設定されている。システムとしては同時接続10万人まで対応可能。(写真:日経クロステック)
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 メタバース演説会の中には、弁士として登壇する広報本部長の河野太郎氏らの名前が書かれたのぼりや青年局の旗、街宣車「あさかぜ号」などが作り込まれている。弁士はVRゴーグル「Meta Quest 2」を装着して仮想空間に入るので、身ぶりや手ぶりがアバターに反映される。参加者はハートマークを投げたり、手を大きくたたいたり、コメントを送ったりといったアクションが可能になるという。「自分の好きなアバターで人目を気にせずにフランクに参加できる。通常の街頭演説は比較的静かに聴かれている方が多いので、メタバース演説会は新しい魅力を出せるのではないか」(青年局団体・学生副部長の川崎ひでと氏)。