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 日本電産は2022年6月7日、同年5月に新設した半導体ソリューションセンターの取り組みに関する記者会見を開き、半導体の安定調達に向けた戦略を説明した。2022年中にもグループ内で使う半導体の標準化を進めるほか、半導体の技術仕様書などを自前で作成するようにして高付加価値の製品開発につなげる。半導体ソリューションセンター所長で同社執行役員の大村隆司氏は、自社開発の半導体を生産するサプライヤーを選定し、26年頃にも生産に向けた本契約を結ぶことで、「安定供給につなげたい」と語った()。

図 日本電産の半導体ソリューションセンター所長を務める大村隆司氏
図 日本電産の半導体ソリューションセンター所長を務める大村隆司氏
写真:日経クロステック
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 今回、基本戦略として、半導体調達の安定化から高付加価値の半導体・モーターの開発に向けた3段階のステップを示した。ポイントは、グループ内での集中購買、高付加価値半導体の開発・製造委託、高付加価値モーターの開発やソリューションの提供だ。大村氏によれば「半導体を自前で設計開発できるようになることが重要」として、製造自体はパートナーとなる半導体サプライヤーへの委託を想定する。サプライヤーとは技術仕様や価格交渉などを通して深い関係を構築し、長期契約を結ぶ。これが安定調達に向けた第一歩とした。

付加価値の高い半導体を使った「インテリジェントモーター」開発へ

 半導体戦略の第1段階として、これまで事業部ごとに選定していた半導体の共通化を進め、日本電産グループとしてサプライヤーから一括購買できるようにする。この体制を2022年中にも構築する。半導体サプライヤーにとっても特定の半導体製品をより多く供給することでスケールメリットを得やすくなることが安定供給につながるとする。

 第2段階として、日本電産のモーター製品に合った半導体の開発・製造委託の体制を整える。具体的には半導体の技術要求仕様などを示したRFQ(Request for Quotation)を自前で作成し、サプライヤーとすり合わせることで高付加価値部品を供給できる体制を築く。あらかじめ、半導体の設計から製造工程まで細かい仕様を策定しておき、複数のサプライヤーと議論を交わしていくなかで委託先を選定し、2026年頃に本契約を結ぶ。開発力を身に付けられるだけでなく、サプライヤーとの意見の食い違いを減らし、投資リスクの低減にも役立つという。

 日本電産は半導体の詳細な仕様や開発環境、評価環境などの要求を出し、製造を委託するサプライヤーに半導体のコスト構造を見える化するよう働きかける。結果として価格交渉の負荷低減になることも期待する。長期契約を結ぶことでサプライヤーにも魅力のある関係を築く。大村氏は「半導体をカタログから選ぶのではなく、欲しい半導体の仕様書を提示することが重要だ」と語る。欧米でも有力な競合企業がRFQを作成している例を挙げ、競争力や製品の差別化に欠かせない要素とした。

 第3段階として、付加価値の高い半導体を使って小型コンピューターを内蔵した「インテリジェントモーター」を開発し、自動車だけでなく、製造業や家電、エネルギー分野に広く製品を展開していく。差別化のためにも自前で開発・最適化した半導体を供給できるようにすることが重要になる。

 同社はモーターや減速機、インバーターを一体化した電動アクスル「E-Axle」を電気自動車(EV)向けに供給しており、今後の成長の柱に位置付けている。将来は市場ごとに最適設計した高付加価値モーターを開発していく考えだ。