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 米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は、会員制の診療サービスを提供する米One Medical(ワン・メディカル)を総額約39億米ドル(約5370億円)で買収する。2022年7月21日(米国時間)に明らかにした。ヘルスケア事業の規模拡大が狙いとみられる。

 アマゾンは2018年に処方薬のネット販売を手掛ける米PillPack(ピルパック)を買収し、2020年にオンライン薬局サービスを始めている。2019年にはヘルスケアサービス「Amazon Care」を展開するなど、ヘルスケア分野に注力している。今回の買収はこの流れの中にある。

アマゾンはヘルスケア分野で存在感を高めるためにイベントに出展している
アマゾンはヘルスケア分野で存在感を高めるためにイベントに出展している
写真は2021年10月開催の「HLTH 2021」の同社ブース(写真:日経クロステック)
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 ワン・メディカルが提供するのは「プライマリケア」と呼ばれるヘルスケアサービスである。患者が臨床医に対して健康や医療に関するさまざまなことを相談し、その状態に応じて適切な処置や専門医などを紹介する窓口としての役割を果たす。米国ではけがや病気などの場合、まずプライマリケアに相談するのが一般的で、患者と継続的な関係性を構築している。日本における「かかりつけ医」に近い存在である。

 ワン・メディカルのサービスのウリは、より早く簡単にプライマリケアを受けられること。例えば、当日、あるいは翌日にプライマリケアの予約を取れるという。加えて、24時間365日、ケアチームとコンタクトできるとする。従来型のプライマリケアだと予約に数日かかったり、夜間に連絡が取れなかったりする場合がある。ユーザーは年額199米ドルを支払えば、ワン・メディカルが提供するサービスを利用できる。

 Amazon Careも、ワン・メディカルに類似したヘルスケアサービスである。もともと、アマゾンが2019年9月に従業員向けにサービスを開始したもので、2022年2月から一般向けに本格的にサービスを提供している。スマートフォンのアプリを使い、メッセージやビデオのチャットで医療従事者に健康や病気を相談できる。そこで対面による診療が必要だと判断されると、医療機関を予約してくれる。全米で遠隔サービスを提供しているほか、米国8都市では対面サービスも提供する(2022年2月時点)。同年内に対面サービスの対象を20都市以上に拡大するとしている。