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 日野自動車は2022年度通期(2022年4月~2023年3月)の業績予想の開示を見送った。エンジンの認証不正問題で、一部トラックの出荷を停止しており、再開のメドも立っていないためである。

 2022年7月28日に開いた2022年度第1四半期(2022年4月~6月)の連結決算会見で、日野自取締役・専務役員の久田一郎氏は「不正の対象車種を出荷再開できる時期が見通せない。再開時期が決定し、見通しの算定ができた時点で速やかに開示する」と述べた(図1)。

図1 日野自取締役・専務役員の久田一郎氏
図1 日野自取締役・専務役員の久田一郎氏
(出所:オンラインで開催した決算説明会の様子を日経クロステックがキャプチャー)
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 不正の対象車種の生産は、一部のトラックで再開した。久田氏は「少量の生産だが、少しでも短い期間で届けるため」と説明する。型式指定を再取得してからの生産では、部品メーカーからの調達を含め、長いリードタイムを要するという。仕入れ先の部品メーカーの雇用への影響を軽減する意図もある。ただ、出荷を再開するための型式指定の再取得については「話せる立場にない。当局の指示に従う」(同氏)とした。

 少量生産を再開したものの、車両を組み立てる古河工場(茨城県古河市)では、生産台数の減少に伴い、余剰人員が出ている。こうした人員は、稼働率の高い新田工場(群馬県太田市)に異動させるなどして、対応しているという。同工場では、エンジンやトランスミッションなどを生産している。好調なASEAN(東南アジア諸国連合)への輸出用も造っており、高い稼働率を維持する。

 不正により生産や出荷を停止した影響で、仕入れ先の部品メーカーも工場の稼働停止や稼働ロスを余儀なくされた。日野自は、これらに対する補償として約20億円の特別損失を計上した。同社財務・経理領域長の松川 徹氏は「引き続き、仕入れ先とは丁寧に対話し、困りごとを聞いたうえでしかるべき対応をしていく」とした。