全1315文字
PR

 巨額な補助金によって、米国の半導体業界が大きく動き出す。2022年8月9日(米国時間)、半導体分野や科学技術分野などに対して広範、かつ多額の補助金を投じる法案「CHIPS and Science Act of 2022」にバイデン米大統領が署名した。既に米国の上院と下院で可決されており、今回の署名で成立した。もともと法案成立を見越して、大手米半導体企業が米国内での製造設備への投資を明らかにしているが、今回の署名に合わせて新たな投資が発表されるなど、米半導体業界の動きが活発になっている。

「CHIPS and Science Act of 2022」に関するホワイトハウスの資料
「CHIPS and Science Act of 2022」に関するホワイトハウスの資料
Webサイトの画面をキャプチャーしたもの(画像:ホワイトハウス)
[画像のクリックで拡大表示]

 CHIPS and Science Act of 2022では、米国における製造業やサプライチェーン、安全保障の強化に加えて、科学技術の研究開発や人材育成に投資することでナノテクや環境技術、量子コンピューター、AI(人工知能)などでリーダーシップを取り続けることを目標に掲げている。このうち、目玉の1つが半導体製造の強化である。米SIA(Semiconductor Industry Association:米国半導体工業会)によれば、米国における半導体製造能力のシェアは1990年に37%だったものの、現在では12%にまで低下しているという。そこで、今回の法案では例えば半導体の製造や研究開発、人材育成などに向けて総額527億米ドル(1米ドル135円換算で約7兆1000億円)の補助金を投じて、てこ入れを図る。

 このうち、国内に半導体工場を誘致する製造に関する補助金として390億米ドルを投じる。自動車や防衛システムで用いるレガシーの半導体製品の製造に対する補助金20億米ドルを含む。残り137億米ドルのうち、研究開発と人材開発で132億米ドル、情報通信のセキュリティーやサプライチェーンで5億米ドルを占める。

 製造誘致の補助金をあてにし、大手米半導体企業が米国内での新たな製造設備への投資を明らかにしている。例えば米Intel(インテル)や台湾TSMC、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)などだ。これらに加えて、今回の法案成立に合わせて、半導体大手が新たな投資などを発表した。