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 「今年度の最大の重点施策は、低炭素・脱炭素社会の実現に貢献する製品・サービスの提供だ」。川崎重工業が2022年8月12日に開いた2022年度第1四半期決算説明会で、同社副社長の山本克也氏はこう語った。

 一例として山本氏は「世界初のピュアバッテリー電気推進タンカー『あさひ』に搭載される大容量バッテリー推進システム」を挙げた。

 ピュアバッテリー電気推進タンカーとは、船の基幹エネルギーシステムを完全に電化したタンカー。旭タンカーが運用する「あさひ」は、世界初のピュアバッテリー電気推進タンカーだ。

 あさひに搭載する大容量バッテリー推進システムは、大容量リチウムイオンバッテリーや推進制御装置、電力管理装置などで構成され、動力と電力を主推進機や他機器へ供給する。バッテリーを使用するので、航行時に温暖化ガスを排出しない。

水素関連事業を将来の中核事業に

川崎重工業が建造した世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」
川崎重工業が建造した世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」
全長116×全幅19m。真空2重構造のステンレス鋼製の液化水素タンクを搭載し、一度に75トンの水素を運べる。タンクの容積は1250m3で、現在主流とされるLNG船の容量15~17万m3と比べると小さい。液化水素を積載して日本とオーストラリア間の往復航海に成功した。(写真:川崎重工業)
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 低炭素・脱炭素社会に向けた製品・サービスの中でも、同社が特に「将来の中核事業になると期待している」(山本氏)のが水素関連事業だ。山本氏は、「中長期的には、脱炭素分野での主導的ポジションの確立に注力する。水素エネルギー普及を見据えた技術開発について着実に遂行している」と意気込みを語る。

 実際、2022年2月には、同社が建造した世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が、液化水素を積載して日本とオーストラリア間の往復航海に成功している。

 この他、世界初の船舶用水素ボイラーの基本設計を終了し、16万m3 型液化水素運搬船の基本設計承認(AiP:Approval in Principle)を取得したとも報告した。

川崎重工業が基本設計を終了させた世界初の船舶用水素ボイラーのイメージ
川崎重工業が基本設計を終了させた世界初の船舶用水素ボイラーのイメージ
(出所:川崎重工業)
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 山本氏によると、この大型液化水素運搬船はすいそ ふろんてぃあの128倍の液化水素を運搬できる。2025年ごろには、商用化実証試験向けに運用を開始。その後、水素利用が拡大するにつれて、隻数の増加を見込んでいる。「当社グループの水素事業の収益も、大型液化水素運搬船の建造数に比例して大きな成長を期待している」という。