京都工芸繊維大学は2022年8月4日、新構造のテキスタイル(織物)型圧力センサーを開発したと発表した。全体を糸のみで構成するために製造が容易で、簡単にカットしたり、衣服などに縫い付けたりできる。「糸であるため肌触りが良く、衣料としても不快感を与えない。脈拍センサーやモニタリングなどの医療・介護分野、メタバースなどとの連携で活用できる可能性がある」と同大学 繊維学系 助教のYu Annie氏は説明した(図1)。
Yu Annie氏と同大学 繊維学系 准教授の石井佑弥氏らが開発したセンサーは、柔軟で温度変化に強い静電容量方式を採用した。微少な電気(静電容量)の変化で圧力を検知する技術だが、これまでは肌への接触時に人体由来のノイズが発生してしまう課題があった。ウエアラブルセンサーとして使うには絶縁性の布で覆う必要があり、製造工程が複雑で洗濯時に剥がれやすかった。
開発技術は5層構造になっており、糸のみで一度に編み上げられる。表裏それぞれの表面の外側に絶縁性糸、内側に導電性糸を配置したことで、人体由来のノイズが発生しにくくした。絶縁性糸と導電性糸から成る4層の間にスペーサー層を設けており、この厚みが変化すると静電容量が変化。圧力を検知できる仕組みである(図2)。