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 トヨタ自動車は全面改良して2022年8月23日に発売した小型ミニバンの新型「シエンタ」に、デンソーが開発した最新の先進運転支援システム(ADAS)用センサーを採用した。車両や二輪車、自転車運転者(サイクリスト)、歩行者の検知性能を向上させた同センサーを使うことで、先代シエンタに比べて予防安全性能を高め、運転者の操作負担を軽減した(図1)。

シエンタ
図1 小型ミニバンの新型「シエンタ」
(写真:日経クロステック)
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 デンソーの最新ADAS「Global Safety Package 3」(以下、GSP3)は、車両の前方を監視するセンサーとして、ミリ波レーダーと単眼カメラを使う。トヨタブランドの車両では既に、中型ミニバン「ノア/ヴォクシー」、新型電気自動車(EV)「bZ4X」、新型「クラウン」に搭載されている。新型シエンタ(以下、新型車)への採用は4車種目となる。また、レクサスブランドの車両では、中型SUV(多目的スポーツ車)「NX」にも搭載されている。

 先代シエンタ(以下、先代車)は、トヨタが過去に「TSS(Toyota Safety Sense)-C」と呼んでいたADASを搭載していた。センサーには、レーザーレーダーと単眼カメラの一体型ユニットを使う。フロントウインドー上部の室内側に装着する同ユニットは、ドイツContinental(コンチネンタル)製だ。システムの主要機能である自動ブレーキは、昼夜の車両や昼間の歩行者に対応するが、夜間歩行者には対応できていなかった。

 これに対して、デンソーのGSP3を使う新型車の最新TSSは、ミリ波レーダーをフロントグリルの中央に、単眼カメラをフロントウインドー上部の室内側に装着する(図2)。性能を向上させたこれらのセンサーを使い、自動ブレーキなどの9機能を提供する。

センサーの搭載位置
図2 センサーの搭載位置
(写真:日経クロステック)
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 自動ブレーキは、交差点における車両や二輪車との「出合い頭衝突」を回避できるようになった。また、交差点の右折時における直進対向車や、右左折時に前方から横断してくる歩行者とサイクリストにも対応する。夜間歩行者も検知できる。

 自動ブレーキ以外では、「プロアクティブドライビングアシスト」という機能を搭載した。事故のリスクを先読みして、歩行者や自転車、駐車車両に近づきすぎないように操舵(そうだ)やブレーキ操作を支援するものである()。

最新TSSの主な提供機能
表 最新TSSの主な提供機能
(出所:トヨタの公表データを基に日経クロステックが作成)
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