ホンダは2022年9月13日、電動二輪車の世界販売台数を2030年に350万台とする目標を発表した。同社における二輪車の世界販売台数の約15%を電動二輪車にすることになる(図1)。部品の共通化で開発コストを減らすほか、コネクテッドサービスの提供などによってハードウエアの売り切りに頼る事業構造から脱却し、電動二輪車でも高い利益率の維持を目指す。
「中期的な目標として掲げる全社での営業利益率7%以上の達成へ向け、二輪事業の高収益体質を維持していく」――。同日の説明会で、ホンダの二輪事業を担当する同社常務執行役員の野村欣滋氏は力を込めた(図2)。
ホンダの二輪事業は「少資源(少ない経営資源)で固定費を圧縮しながら、量で稼いで収益を出している」(同社副社長の竹内弘平氏)のが強みだ(図3)。2021年度通期の営業利益率は、四輪事業が2.5%であるのに対し、二輪事業は14.3%に達する。
ただ、四輪車と同様、二輪車も電動化によって「電池がコスト圧力になる」(竹内氏)。コスト低減のため、主要3部品と位置付ける電池とPCU(パワー・コントロール・ユニット)、モーターを組み合わせた電動二輪車用のプラットフォーム(PF)を開発する(図4)。同PFを展開することで開発を効率化し「求めやすい価格」(ホンダ)の実現を目指す。
電池に関しては、2020年代後半に四輪のEVに搭載することを目指して開発を進めている全固体電池を、電動二輪車にも展開する意向も明かした。実用化の時期は「四輪車のEVへの搭載時期と同じくらいか、その後すぐ」(竹内氏)という。電動二輪車は車両質量と航続距離の兼ね合いで、大容量の液系のリチウムイオン電池を積むのが難しい。同じ容量で液系の同電池に比べ体積の半減が見込める全固体電池は、電動二輪車においても「有効な1つの選択肢」(野村氏)とみる。
コネクテッド領域では、すでに一部の二輪のICE車で提供している「RoadSync(ロードシンク)」と呼ぶサービスを進化させ、航続距離を基にした最適な道順や充電地点への案内などを提供する。2024年に投入予定の「コミューターEV」を皮切りに、同機能への対応を進める。